日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

扉を叩く音 (続)

「毎年、十月から三月までの間、深夜、玄関の扉を叩く音がする」話の続きです。

郷里から帰って来ると、家人がひと言言いました。
「お父さんがいない時に幽霊が出た」

家人によると、自分の部屋でうつらうつらしている時に、入り口から誰かが入って来た。
長女かと思い、「何?」と声を出したが、返事をしない。
そこで顔を上げて、その人を見ると、そこにいたのは、これまで見たことの無い女だった。
「あなた誰?」
家人が訊くと、女は入り口から、ふっと出て行った。
その後で家の中を探したが、家には誰も居なかった。

午後3時頃の出来事だったそうです。すなわちお昼過ぎ。
「お前ね。幽霊なんかいないんだよ。すべてお前の妄想だな。寝起きの時に幻を見たんだろうよ」
ウソなのですが、対処の仕方を知らない者には、いつもこう言います。
まあ、人と話をする時には、大概は「気のせい」だと言いますね。
その方が無難に社会生活を送れます。

「でも、絶対にそこにいたもの。気のせいなんかじゃない」
あの人は、30台で、髪の毛がこのくらい、こんな洋服を着ていて・・・と、家人が説明しました。
私は心の中で「ああ。そいつだ」と頷きました。
そいつは、時折、物陰から私を見ている女です。
たぶん、当家の扉を叩くあの音にも関係しています。
家の中に入って来られるようになっていたのですか。

そう言えば、例年と異なり、玄関前に動作感応式のライトを2つ置いたりしていますね。
そいつは、夜中に玄関の前に来ても、自分の存在を知らしめることが出来なくなったので、何かの拍子に家の中に潜り込んだのかもしれません。
ま、私が帰宅する時に、後ろについていた、てなケースですね。

その女は何をするわけでもなく、ただ私と接触したいのだろうと思います。
何かを言いたいのです。
そう言う意味では、たぶん、家族に影響はないと思いますね。
しかし、一体、何を伝えたいのか。
霊感の乏しい者にはさっぱり分かりません。

家人によると、その女は、別におどろおどろしい姿かたちをしているわけでもなく、ごく普通の女性に見えたらしい。
まあ、映画やテレビと異なり、本物はそういう感じです。
(自分に関わりを持たない相手の場合ですが。)

家人には「別にどうってことはない。気にするな」と伝えました。