日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第274夜 漂流

どうにも寝苦しく、2時間と続けて寝られません。
これは朝方、そういう状態で観た夢です。

目が醒めると、オレはどこか水の上にいる。
板のようなものに掴まって浮いているのだ。
回りは真っ暗。

「何があったんだっけ?」
頭を打ったらしく、よく思い出せない。
ボツボツと記憶の断片だけが残っている。

ヨットに乗っていたような気がするなあ。
小型のヨットで、動力はなし。
自分1人で乗ったのは初めてだった。
夕方になり、港に戻ろうとしたが、うまく操れない。
狼狽えているうちに、大型船に衝突して転覆したのだ。
オレは海に投げ出されて気を失った、というわけだ。

とりあえずは「良かった」と思わねば。
溺れ死んではいないという意味でだ。

さて、どうやって岸に戻ろうか。
眼が慣れて来ると、海岸からそれほど遠くないことに気がついた。
だが、オレは次第に沖に流されていることも分かった。
潮の流れはかなり早く、時速換算で数キロはあるようだ。
ノットだとどうなるんだっけか。
そんなことはどうでもよい。
何とかして生き残らなくては。

海水温は30度弱だろう。
オレはウエットスーツを着ていないので、生きていられるのはほぼ一昼夜だ。
海水温が30度なら暖かそうだが、体温が36度なので、6度の温度差がある。
水温が36度なら、水に浸かっていられるのは、概ね2日から2日半。
これが1度低くなるごとに、生きていられる時間が4時間ずつ減って行く。
今は温度差が6度なので、逆算すると1日から1日半だ。
オレはどうやら半日以上は海の中にいるので、このまま流されていると、1日以内に溺れ死んでしまう。
正確には低体温症だが、これもどうでも良い。死ぬのは同じだからな。

潮流にのって、オレは見る見るうちに沖に離された。
こりゃダメだ。絶望的な状況だな。
「母さん、ごめん。オレは親より先に死にそうだ」
船は沈んだが、今はオレの心の方がもっと深く沈んでいる。

首を長く伸ばして、周りを見るが、船は見当たらない。
こういう時くらい、近くを通り掛かれよな。
オレは観念して、両目を瞑った。

それからどれくらいの時間が経ったろうか。
眼を開くと、周りが少し明るくなっていた。
しかも、わずか5、6百辰里箸海蹐北┐見える!

なるほど。
ここの潮流は円を描くように、渦を巻いていたのだ。
オレはツイてる。
海岸に近寄る手前で泳ぎだせば、渦潮の力を借りて岸に泳ぎ着けるかもしれん。

オレは板を離して泳ぎ始める。
さっきの絶望感はどこぞへ行ったやら、だ。
人間が強く生きていくには、何がしかの希望が必要だってことだな。
ははは。

ここで覚醒。