高麗神社は、昨日18日が神官だけの神事で、19日が例大祭でした。
家人と2人で買い物に出て、その帰路、いつものように駐車場に車を入れると、この日は車がぎっしりです。
時代祭的な催しがあり、千年前の高句麗時代を模した服装の人たちが登壇していました。
この後、子どもたちのよさこい踊りを行うとの説明でした。
屋台が沢山出ていたのですが、そのうちの焼きそばに目が留まりました。
縁日の屋台では、だいたいアルバイトの若い兄ちゃんが作っているのですが、作り方がおざなりなのでほとんどが不味いです。
ところが、この日はオヤジとその奥さん、息子らしき若者で切り盛りしています。
オヤジさんの前掛けを見ると、充分使い込んである様子でした。
「屋台のプロが来てるんだな」
早速、列に並んで買うことにしました。
子どもの頃、縁日になると必ず来る焼きそば屋が居たのですが、その時のオヤジに風貌が似ています。あれから何十年経つか分からないのですが、それに匹敵する味の焼きそばを食べたことがありません。
でも、ま、400円の焼きそばに「味」を求めたら気の毒です。
ところが、車に戻って早速食してみると、これが美味い。
具は豚の脂身のカスとキャベツが少々と、多めの紅ショウガだけですが、味にコクが有ります。
「ありゃ。これは業務用ソースの味じゃないな。食ってみろ」
家人に焼きそばを渡します。
「美味しい。去年のと全然違うね」
去年はやはり、アルバイト香具師の兄ちゃんの焼きそばで、作り置きのウスターソース味でした。
「何事にも『道』はある。400円の焼きそばを甘く見たらだめだ。オレは原価百円の素材でここまでの味は作れない」
魚貝類だの、色んな具材を付け足してみますが、あまり良い味には作れません。
プロのレシピは案外、シンプルで、段取りを守って作るのが基本なんだろうけど、そこは修業をしていない素人には届かない。
屋台なら、客はさらに敏感で、実際に、列をなして並んでいるところと、誰も買っていないところに分かれていました。
美味しくて、客が集まる屋台なら、回転も速い。そうすると、新鮮で出来立てのものを客に食べさせるので、余計に美味くなります。これぞプラス回転の極致ですね。
「焼きそばひとつで客を感動させるとは、あのオヤジもしてやったりだろ」
客の喜ぶ顔を見て、内心では「へへ」と笑っていやがるに違いない。
尊敬するなあ。どんなところにも先生はいます。
「こんなもんでいいだろ」という気持ちを捨てて、トコトン突き詰めないと、何ひとつ極める事は出来ないです。
世の中はメディアもネットも「ごたく」だらけ。何ひとつ自分では出来ないヤツがエラソーなことを叫んでます。言葉ではなく、実際に出して見せないとね。