日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎スーパーでの出来事

◎スーパーでの出来事

 たまに20キロ離れた町のスーパーに行く。片道30分はかかるから、食料品を買う時には、必ず保冷用の氷を多めに貰う必要がある。

 昨日、家人と一緒にそこのスーパーに行き、買い物を済ませた。

 レジ後ろの梱包台で袋に入れていると、家人が見知らぬ客に「すいません」と頭を下げていた。

 その壮年男性に謝った後、家人は小走りでダンナの方に寄って来た。

 

 開口一番に家人は、ダンナへの不満を漏らした。

 「まったく、オトーサンは」

 え。どういうことだろ。

 

 車に戻り、話のてん末を聞いた。

 そこのスーパーに行くと、「オトーサン」は必ず保冷用氷の冷蔵庫の脇で袋詰めをする。

 ちょうどその位置に、年恰好のそっくりなオヤジがいたので、家人は「これがオトーサン」と思い込んだ。

 頭も薄かったし見分けがつかない。

 後ろから「オトーサン」と、そのまた隣の客との間に割り込むように入った。

 「氷をしっかり貰わなきゃダメだからね」

 すると、「オトーサン」は「え」と声を出した。

 

 ダンナの袋を覗くと、鯖の切り身が入っている。

 鯖は夫婦とも食べられないから、半分は捨ててしまうことになる。

 「また鯖を買ったの!!!」

 これを、かなりキツい口調で言った。ほれ、中高年夫婦の奥さん言う、あの説教口調だ。

 「オバサン」になると、夫に対し、最初から叫ぶように言い付けるもんだ。

 

 すると「オトーサン」は、また「え?」とかなり上の音域で口にした。

 おかしいと思い、家人が「オトーサン」の顔を見ると、自分のダンナとは違う人だった。

 それで、家人は「すいませーん」と謝りつつ、逃げ出して来たのだった。

 

 オヤジの買い物の内容は、明らかに独り暮らしの人が買う品だったらしい。

 寂しく一人用の食品を買っているのに、見ず知らずのオバサンから説教されたのでは堪らない。

 隣には、割と若い夫婦が袋詰めをしていたが、一部始終を見て、ゲタゲタと笑っていたそうだ。

 これ幸いと、ダンナは「今やお前はいきなり説教口調で叫ぶようになっているからそうなる。態度を改めろ」と言い付けた。

 

 しかし、そのオヤジをチラ見したが、頭の方が「ほぼハゲ」だった。

 あれと間違えられるようでは、当方も「ほとんどハゲ」ということだ。でも、前髪や側頭部には毛があるよな。あのオヤジは全体がハゲだった。

 あれと間違えるのか?

  現実を突きつけられたようで、少しがっくりした。とこれがオチだ。

 はい、どんとはれ。