夢の話 第494夜 海の見える家
数日前に観た夢ですが、文字に落とせるかどうか思案したため遅くなりました。
夢の中の「僕」は高校1年生。ケンイチかケンジみたいな名だ。
両親は貿易会社を経営しているが、7月下旬から1か月間、商用でヨーロッパに行くことになった。
僕は1人っ子だから、両親は「お前を都心に1人で置いておけない」と、不在期間はおばあちゃんの家に預けられることになった。
おばあちゃんは75歳だから、僕をおばあちゃんに「預ける」だけでなく、僕におばあちゃんの暮らしの手助けをさせる意味合いもあったろう。
おばあちゃんの家は海の近くだ。7、8百メートルも歩けば岬に出られる。
岬の下に下りると磯なのだが、ここに魚が集まるので、竿を振れば沢山釣れる。
大体は鯵か鯖だが、たまにヒラマサや鯛が釣れることもある。
これが面白くて堪らないので、僕は毎朝、岬に行き、昼まで釣りをした。
まあ、家には僕とおばあちゃんの2人しかいないから、その日食事にする分を釣ってしまえば、釣りはそこで終わり。十時過ぎには家に帰ることもある。
この日も釣りが比較的早く終わり、磯から上がった。
岬から歩いて帰る途中、1軒の家の前を通った。
ちなみに、おばあちゃんの家と岬の間には、この家しかない。
ここはお金持ちの別荘か何かで、普段は人がいないと聞いている。
庭の前を通りかかると、女の人が立っていた。
髪の長い、ほっそりした人だ。
僕が前を通ろうとすると、その人が気付いた。
「ねえ君。ちょっと手伝ってくれないかな」
その女の人小首を傾げてにこっと微笑む。
女性が物を頼む時のあの微笑み方だ。
「何ですか」
「車からセメント袋を下ろしたいんだけど、ちょっと重いのよ」
「良いですよ」
僕は庭に歩み入った。家の脇の方に車が停めてあり、その荷台にはセメント袋が6つ積んであった。60キロ袋なので、女性には確かに重い。
「これはキツいですね。積むときはどうしたんですか?」
「店の人が載せてくれたの」
「どこに下ろしますか」
「あっちの作業小屋の中」
指で示した先には、プレハブの小屋が建っていた。
「分かりました」
キャリアカートがあったので、車からカートに袋を下ろし、小屋に運ぶ。これを数度繰り返して、作業は終わりだ。男の力なら左程のことは無い。
「どうも有り難うね。じゃあ、そこの縁側に座って待ってて。アイスを持ってくるから食べてってね」
「すいません」
また家の前に戻り、言われたとおり縁側に座った。
ここからは、真正面に海が見える。
少し土台が高くなっている分、遠くまで見渡せた。
呆然と見ていると、女の人が戻って来た。
「お待たせ」
手にはガラスの器を持っていた。
「イチゴのシャーベットよ。美味しいから食べて」
器を受け取り、早速スプーンですくって口に運んだ。
「美味しい」
「でしょ。生のイチゴで作ったの」
「生のイチゴですか」
「そう。イチゴをジュースにして、それをかき氷にしてまた冷やすの」
「でも、透き通ってますよ」
「ふふ。ミキサーで潰すんじゃなくて、ジュースにするの」
「果肉の方は?」
「捨てる」
贅沢なお菓子だ。でも、びっくりするくらい美味しい。
ここで、改めて僕は目の前の女性を眺めた。
この人は誰かに似ている。ああ、確かキド・マアコって女優さんの若い頃に似ているのだ。
「ところで、あのセメントは何に使うのですか」
「窯を作る。レンガを積んで、セメントで固めるの。それで陶器を作る」
「焼き物ですか」
「そう。今は電気炉があるけれど、私は炭で焼く方が好き」
「陶芸作家さんなんですね」
「いえ、素人よ。作家になりたいけれど、今は修行中。知り合いがここを貸してくれたから、しばらくはここにいる」
縁も所縁も無い人だが、きれいな人が近くにいるだけで、なんとなく楽しくなる。
そういう意味では、美人はやはり得だ。
「君は岬で釣りをしてるの?」
「はい」
「毎日行ってるよね。帰るところを見かけるもの」
「はい」
「沢山釣れるの?多いときには少し頂戴ね」
「分かりました」
これが真奈美さんとの最初の出会いだった。
それから、僕は朝早く起きて岬に出かけるようになった。
もちろん、いつもより沢山釣るためだ。そうすれば、あの家に寄る口実が出来る。
「魚が釣れたから置いていきます」と言うことが出来るのだ。
実際、僕は沢山の魚を釣り、真奈美さんの家にそれを持っていった。
真奈美さんはいつも喜んで受け取り、そのお返しに僕に陶芸を教えてくれるようになった。
陶芸家とはいえ、普段は独りで家にいるから、少し寂しいときもあったのだろう。
それから5日後に窯が出来、十日後には最初の陶器を焼いた。
その中には、僕のヤツも数個混じっている。
陶器が冷えるのを待つ間、僕らは休憩することにした。
「もう大丈夫だから少し休もうか」
そこで僕らは、あの縁側に行き、そこに腰を下ろした。
「少し疲れたわね。ああ」
真奈美さんが縁側に寝そべり、体を伸ばす。
「ねえ、ケンちゃん。背中をマッサージしてくれないかな」
真奈美さんは僕に背中を向けた。
「肩も背中もカチカチなの。お願いね」
僕は正直なところ少し驚いたのだが、真奈美さんがごく当たり前のように言うので、背中に手を伸ばした。
シャツの上から肩の筋肉を揉みほぐそうとしたのだ。
「そうじゃなくて、シャツの下に手を入れていいから」
そう言うと、真奈美さんはシャツを少したくり上げて、背中を少し出して見せた。
自分の背中を直接揉んでくれというわけだ。
仕方ない。
僕は背中に手を入れて、背中の肉を絞り上げるように揉み始めた。
お母さんによくやらされるから、コツは分かっている。
ぎゅうっと強めにやると気持ちが良いらしい。
「ああ気持ちいい。マッサージが上手だね」
これで僕は気が楽になった。
背中の上から下まで、ぎゅうっと何度も揉みあげる。
真剣にやると下着に指が引っかかるから、そこでいったん腕を止めて、乗り越えてからまた力を入れるようにした。
「邪魔になる?」
そう言うと、真奈美さんはいったん起き上がり、背中に手を回してブラのホックを外した。
「ほら、これで引っ掛からないわ」
それから、真奈美さんはもう一度縁側に寝そべり、背中を向けた。
目の前には若い女性の真っ白な背中がある。
高1の僕は頭がクラクラした。
(でも、真奈美さんにとっては、僕は弟か何かの感じなんだろうな。何のてらいもなく、背中を見せているもの。)
再び、僕は真奈美さんの背中を揉み始めた。
この時、僕が考えていたことはこうだ。
真奈美さんが「今は彼氏に背中を揉んで貰っている」と想像してくれるとしたら、どんなに嬉しいんだろうか。僕は彼氏じゃないけれど、弟とは思われたくないな。
そのままマッサージを続けていると、真奈美さんが眠りに落ちていた。
起こすのは可哀想だから、このまま寝かせておこうか。
周りを見回すと、部屋の隅にタオルケットが置いてあった。
僕はそれを取ってくると、真奈美さんの体にかけた。
「ここは滅多に人が通る道ではないから、このまま寝かせていても大丈夫だよな」
真奈美さんが眠ってしまったのは幸いだった。
あのままなら、僕は到底立ち上がれない状態だったからだ。
高1の男子が若い女性の肌に触れたら、一体どうなるか。男なら大体想像がつくだろ。
僕は足音を立てないように、真奈美さんの許を離れた。
おばあちゃんの家に帰っても、真奈美さんの背中のことが僕の頭から離れず、僕はひと晩の間眠れずに過ごした。
僕の妄想は、背中を向けた真奈美さんがこっちを振り返るというものだ。
こりゃ本当に参った。悶々として眠れやしない。
それから三日後のこと。
いつものように、釣りを終え磯から戻る途中で、僕は真奈美さんの家に寄ろうとした。
ところが、その家の前には、大きな黒い車が停まっていた。
「この家の人が来てるのかな」
僕は道から庭に入り、縁側の方に近づいた。
すると、家の中から声が聞こえた。
真奈美さんの声だった。
正確には、真奈美さんがすすり泣くような声を上げていたのだ。
僕は一瞬、真奈美さんが苛められているのではないかと思って、一二歩前に進んだ。
すると声がもっと大きくなった。
そこで僕は気が付いた。
「これは泣いているわけじゃないよな」
ここはたぶん、真奈美さんの彼氏の家だ。
そうして、今はその彼氏が訪れているのだ。
僕は子どもじゃないから、あれがどういう声かは分かる。
そこで、僕は踵を返し、道の方に戻った。
こうして、僕の恋は終わった。
僕は前と同じように釣りには行ったが、それからは別の道を通って岬に行き来するようになった。
真奈美さんに会いたくなくなったわけではない。
真奈美さんが、彼氏と2人で仲良く陶器を焼いているところを見たくなかったのだ。
ここで覚醒。
この分量だと、どんなに急いでも15分では書けません。
25分以上はかかってしまいます。
幾分、エッチな内容を含むのですが、そんな夢は数年ぶりではないか。
内容はともかく、病気で苦しんでいたときには考えられないことでした。
となると、喜ぶべきでしょう。
昔、小学生の時に、親が親戚の家に行くのについて行ったことがあります。
何の集まりなのかは分かりませんが、沢山の人が来ていました。
用事が済むまで時間が掛かるようで、「この部屋で遊んでいて」と一室に入れられたのです。
すると、そこには20歳くらいのお姉さんがいて、一緒に遊んでくれました。
最初はゲームをしていたのですが、そのうちに「背中に乗せてあげる」と言います。
「はい。お馬だよ」と言うので、当方は「違うよ。おっぱいがあるもの」と答えたのです。
「じゃあお牛さんだ」
しばらく背中に乗っていたのですが、そのうちにその女性が「おっぱいを搾ってみる?」と訊きました。
何のことが分からないので黙っていると、女性はするするとシャツを脱ぎ下着を外しました。
「はい。ミルクが出るかもしれないよ。搾って」
それから半ば強制的に「乳搾り」をやらされました。
あれは、女性の側にとっては、間違いなく性的な意味があったのだろうと思います。
子どもを利用した自慰行為に近いかもしれないし、ただ何となくなのかも。
当方は小学1年か2年なので、まったく意味が分からず、「搾っても牛乳が出ない」ので、それを残念に思ったのでした(苦笑)。
滅多に経験し得ないことなので、もったいないと言うかなんと言うか。
話のネタとしては十分なのですが、青春小説や少年小説みたいなのはジャンルにはなく、使いたいと思ってもなかなか使いづらいです。