日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第509夜 行き着けない

◎夢の話 第509夜 行き着けない
8月29日午前1時の悪夢。

大きなビルで働いている。
調査研究事業が仕事で、オレは会社の共同経営者の立場だ。
事務所はビルの1室で10×20辰らいの広さ。他に応接室や作業場があるようだ。
女子社員5人が大量の紙をめくって、資料整理をしている。
明日は顧客のプレゼンがあり、そのバックデータを整えているのだ。
おそらく今夜は、この子たちは会社に泊まることになる。

オレはそれを眺めているうちに、あることに気が付いた。
「今直しているそのデータって、磁気情報で保存されているんじゃねーの?」
女子社員が顔を上げる。
「ありますよ。いくつかのメディア(磁気媒体)に入力されています」
「じゃあ、そのメディアの情報をそのまま整理して出力すればいいんだよ」
「でも、今はここには大容量のメディアはありません。それに、万が一のために私たちはこの場を離れるわけには行かないのです」
なら簡単なことだ。
「じゃあ、オレが行って買って来よう」
何だか、80年代の雰囲気で、FDしか存在しないような気がするが、まあ、行ってみよう。
上着を掴み、事務所の外に出る。

オレの事務所はこのビルの20階だから、エレベーターの前に向かった。
エレベーターは古めかしいつくりで、スペインかどこかの映画に出て来そう。
「チン」
扉が開き、中に乗り込もうとすると、突然、箱が下に落ちる。
「どっかあん」
下に激突する轟音が響く。
オレは足先を入れる寸前で、危うく爪先を折り取られるところだった。
「おいおい。危ねえじゃねえかよ」

仕方なく、階段を下りることにする。
エレベーターが落下したら、それはそれで大事件なのだが、この夢の世界では時々起きる話らしい。周りの人も平然としている。
下りだとは言え20階だ。すぐさま膝の裏側が張った。
外に出ると、そこは見知らぬ街で、まったく見覚えがない。
「やっぱり80年代か、あるいはそれより前だな。ごみごみしていた頃の新宿か、あるいは上野みたいなところだ」
目に付くのは飲食店か風俗関係の店で、PCショップやカメラ屋が見当たらない。

仕方なく歩き出す。
想像したよりもさらに雑多な通りで、小さな店がごちゃごちゃと並んでいる。
衣料品を売るインド人や、香辛料を売る中国人が店頭に立っている。
「まるでシンガポールか香港だよな」
メモリーカードどころか、FDすら売っていない」
「FD」とかは懐かしい響きだ。今や「CDロム」すら過去のものになりつつある。
80年代の記憶容量なら、スティック1本で端末何百台分の情報が入る。

繁華街を訪ね歩いたが、1区画当たっても店が見つからない。
ビルを基点に、別の方向の街を捜すことにした。
こっちは大半の店が料理店で、中華料理やカレーの匂いが充満している。
到底、探す店などありそうにない。
若い娘たちに徹夜で残業させるのは可哀想だ。何とか探してやらないと」
脚を棒にして歩き回るが、目的の店は見つかりそうにない。

振り返って、会社があるビルを見る。
高層ビルだが、古ぼけており、あちこちが崩れていた。
「あれじゃあ、エレベーターが壊れていたって、当たり前だよな」
何となく納得する。
「夢の中では、建物は肉体の象徴だ。オレはもう年老いており、あちこちがボロボロになっている。そのことを表しているのだ」
ここで覚醒。

頑張り屋の女子社員は、「前向きに進もう」という意思が変化したもの。
自分なりに前に進もうと思っているが、体にはガタが来ているし、記憶は定かではなくなっている。それを表す夢なのでしょう。
今の自分の境遇を冷静に眺めているような、「あがき」の悪夢です。
夢に悪霊は出なくなりましたが、今度は新手の悪夢が現れています。