日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第508夜 パーティ

◎夢の話 第508夜 パーティ
27日の午前零時ごろに観た夢です。

ふと、気が付くと、駅前通りみたいな道を歩いていた。
オレはパーティ会場に向かっている。
しかし、それが何のパーティなのかが分からない。
商店のガラスに自分の姿を映してみると、30歳になるかならないかの年恰好だった。

店の前についてみると、和風のつくりだが、居酒屋ではなく、小料理屋でもなかった。
「ここ。料亭じゃんか」
オレの年齢にしては贅沢だな。
和風旅館のつくりを見た時に、一瞬ドキッとした。それは、これまでこのアイテムが出るような展開では悪夢が多かったせいだろう。
「だが、今は悪夢を観ない。少し容態が改善されたせいだな」
と考えて、その考えを打ち消す。
「何を考えているんだ。今のオレは若者で、病気に苦しむオヤジジイじゃない」

玄関から中に入ろうとするが、つい建物の脇の道に視線を向けた。
二十メートルくらい先にラーメン屋があり、その店の主人が前に出て掃除をしていた。
「ありゃ。あれは」
見間違うことはない。ラーメン店の主はオレの幼馴染のケンゾーだった。
オレは声を掛けてみることにした。
「おい。あんた、ケンゾーじゃないのか」
店主がこっちを向く。
「おお、お前は。随分久し振りだよな」
横道に入り、ラーメン屋の前まで行く。
「ケンゾー。ここで働いていたのか」
「ああ。今は店長だ」
やっぱりそうか。
ケンゾーは中学を卒業して、栃木あたりの工場に勤めた筈だが、そこを辞め、何かヤクザな仕事をしていたのではなかったか。
ここで記憶が蘇る。
ケンゾーは何かトラブルに巻き込まれたらしく、田舎に帰ったのだが、粗暴な振る舞いがあり、精神病院に措置入院されることになった。
そして、それから何年か後に死んだよな。

「ケンゾー。お前がこうやって無事に働いているとは思わなかった」
こう言うと、ケンゾーが笑う。
「死んだとでも思ったか」
実際そうなのだから、オレの方は笑えない。
「どうしてたんだよ。ケンゾー」
問いかけてみたが、ケンゾーは人形のように固まって動かなくなった。
そりゃそうだ。実際には死んでいるのだから、答えようが無い。
オレが話を繋ぐ。
「今は集まりでその先の店に来た。次はお前の店にラーメンを食べに来るから」
ここでケンゾーが再び動き出す。
「おお。よろしく頼む。オレのラーメンは味がいいのに、何故か客が入らない」
そういう店もあるが、基本はお前が死人だからだよな。

ケンゾーに手を振って、元の店に戻る。
玄関から中に入ると、酔客が沢山いた。
座敷だけではなく、廊下にも溢れるくらいの大人数だ。
顔を確かめると、皆、オレの知り合いだった。
高校や大学の同級生が居て、仕事上の相手が居て、世話になった人やらが入り混じって酒を飲んでいる。
「どっちかと言うと死んだ人が多いよな。それと消息不明のヤツ」
でも、生きているはずの人も居た。
オレは人込みの中に、昔、オレが好きだった女性を見つけた。
「ああ。昔の姿のままだ」
してみると、やっぱりこれは夢なんだな。
ケンゾーが出てきたところで、夢と気付けよな。まったく。

「おめでとう」「おめでとう」
周りの者が女性に向かって、言葉を掛けていた。
「結婚おめでとう」
ふうん。あのひと、結婚するのか。
悲しいような、嬉しいような複雑な心持ちがする。
まあ、あれから何年かが過ぎ、今は地球と月ほども離れている。
月は遠くにあるから綺麗に見えるんだよな。

急に具合が悪くなる。
人込みの中に入ると、概ねそうだ。
駅も繁華街も、今は「行ってはならない場所」だ。もちろん、こういう人集まりも同じ。
オレはよろよろとよろけながら、玄関の方に向かう。
「挨拶もしてねえが、まあ、何人かはオレが来たことを見てるだろ」
靴に足を入れていると、背中から声を掛けられた。

「おい。帰っちゃうの?これはお前のための会だよ」
え?そうだったのか。
ここで、中の方に振り返ると、全員がオレのことを見ていた。
オレのための会だと。でも何の会だろうな。
「ねえ。これって、何のための・・・」
オレが言葉を言い終わる前に、オレの恩人が口を開いた。
この人も5年は前に亡くなっている。

「まあいいさ。君はもう行きなさい。私らは君の過去に過ぎないのだから」

この言葉でオレの疑問が氷解した。
なるほど。この料亭は、あるいはここら一帯はオレの記憶であり、思い入れだった。
ひとつ1つに心が残っている。
「どんなに思いを馳せようと、過去は過去。オレはとにかく前に進もう」
靴を履き終わり、歩き出す。
自動ドアがさあっと開いた。

ここで覚醒。

今は容態が安定しているので、ほとんど悪夢は観ません。
既に少しずつ活動を再開しているので、こんな夢になったのでしょう。