◎ヤツメウナギは絶滅危惧種
子どもの頃に川に行くと、「どじょう」みたいな姿の小魚が沢山いた。
どじょうは愛嬌があって可愛いが、こっちは性格が悪く、手や腕に喰い付いて、そこから血が出るほど強く吸った。
何と呼んでいたかは忘れたが、痛いのと、よどんだ水の中にいたので、子ども心にこいつのことを忌み嫌ったものだった。
何せ、一心不乱に網で小魚をすくっている時に、ふと気が付いたら、腕に十数匹もコイツに吸い付かれていることがあったから、到底好きにはなれない。
確か「吸血鬼」とも呼んでいたと思う。
「あ。また吸血鬼にやられた」
頭の近くに点々があったが、後で調べると、どうやらヤツメウナギの稚魚らしい。
かたちが似ているので、「どじょう」と思い込んでいたわけだが、やはりその頃、「メダカ」だと思っていたヤツもメダカではなかったようだ。
多くはハヤやウグイの子。
それが分かったのは、大人になり「メダカの北限は仙台」ということを知った時だ。
ちなみに今は温暖化の影響で、岩手にもメダカがいるらしい。
自然環境はかなり変化しており、いまやヤツメウナギは絶滅危惧種とのこと。
あれほど嫌いだったヤツでも、川にまったくいなくなっていると聞くと、それはそれで少し寂しい。