日刊早坂ノボル新聞

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◎今日の難読漢字は・・・「馬大頭」

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今日の難読漢字は・・・「馬大頭」

 今日の出題は熟語ではなく難読漢字だった。

 問題は「馬大頭」。

 なんじゃこれ。知らねーぞ。

 

 馬は頭もでかいが、別のモノもでかい。「馬なみ」と言えば何を指すのかの説明は要らない。

 「馬頭」や「牛頭」のことなら、知っている人は知っている。「めず」「ごず」は地獄の役人で、刑務官よろしく亡者を蹴り飛ばすのが務めだ。

 とりわけ、「馬頭(めず)」の担当は、生前、色欲にのめり込んでいた女の亡者を「自慢のイチモツで串刺しにする」というものだ。

 やや下品なようだが、これも信仰であり歴史の一端だ。

 馬頭は女亡者の腹が破れるまで突く行為を、毎日毎日、それこそ永遠に続ける。

 ある意味、馬頭鬼の方も大変だが、ここでの教訓は「だから色欲に流されてはなりませんよ」という女性への戒めだ。

 じゃあ、「馬大頭」は「馬頭」のさらに大親分みたいなヤツなのか?

 とまあ、まだ昼日中なのに、あれこれと妄想を巡らせてしまった。

 

 すぐにモニターに答えが出たが、それによると「おにやんま」が正解らしい。なるほど、昆虫にはあまり興味が無かったから、この字を見たこと自体がないわけだ。

 カブトムシを獲りには行っても、オニヤンマは獲らなかった。

 この虫は割と警戒心が強く、赤とんぼほどは幹や葉の上で休まない。

 そもそも私の郷里にはオニヤンマがあまりいなかった。と言うより、ほとんど見たことが無い。

 これはおそらく北限と関係しているのだろう。メダカや本州鹿と同じで、元々の北限は宮城県辺りだったのかもしれん。

 

 今は温暖化が進み、昔は見当たらなかったところの、メダカや本州鹿、猪、ゴキブリを普通に見るようになった。

 ゴキブリを初めて目にしたのは中学生くらいの時だ。

 あまり馴染みが無いから、ごく普通の虫に見え、さほど抵抗が無い。カミキリムシと変わりない。

 「馬大頭」は実体と離れているので、てっきり故事成語かと思ったら、特に由来は無いらしい。

  由来が無いのなら、新たに作ることにした。

 

「鬼大頭の由来」

 昔、あるところに八ッ場三郎という男がいた。三郎は巨大なイチモツの持ち主で、いつも前を膨ませていた。

 絵師の狩野幽谷がその話を聞き付け、三郎の許にやって来た。

 「三郎どん。お前のイチモツはたいそう立派だと聞く。私の地獄極楽図のモデルになってはくれんだろうか」

 「モデル?それは何のことですか」

 「作中の登場人物の見本になってポーズをとって欲しいんだよ」

 「ポーズ?それは何ですか」

 きりが無いので、この件は「そんな感じの」と曖昧に済ますことにする。

 高額な報酬に負け、毛局、三郎は絵師の家で地獄の鬼の扮装をして構えた。

 だが、絵師が首を捻る。

 「うーん。何だか迫力がないなあ。馬頭は獰猛で天を突くようなイチモツの持ち主なんだよ。今のお前はヘナヘナだ」

 するとそこに絵師の娘がやって来た。

 妙齢の娘は湯浴みをしたばかりだったので、襦袢一枚の姿だった。おまけに体が濡れていたから、襦袢が肌にぴったり貼り付いて体の線が露わになっていた。

 その娘を一瞥すると、三郎のイチモツがあたかも天を突くようにそそり立った。

 「おお凄い。これぞ地獄の馬頭鬼だ。少しそのままでいてくれよ」

 絵師が急いで筆を取り、絵を描き始めた。

 三郎のそれは頭を超える高さに反り立っていたが、どこからか蜻蛉が飛んで来て、その頂きに留まった。

 絵師は鳥獣戯画も描いていたので、虫にも興味がある。

 「おお。そいつはあまり見かけぬ虫だ。よし。その虫にお前の名を付けよう。そうだな・・・」

 絵師はしばし思案したが、結局、三郎の名をそのまま取って付けることにした。

 「鬼の扮装をした八ッ場三郎のまさに最も猛々しいところに止まった虫だから、鬼の八ッ場、すなわち鬼八ッ場はどうだろう」

 この話が世間に伝わり、皆がその珍しい蜻蛉を「オニヤンバ」と呼ぶようになった。それから時が過ぎるうちに、言葉が少しずつ変わり、「オニヤンマ」となった。

 この言葉からは語源である三郎本人が浮かんで来ぬため、伝説を元に「鬼大頭」という文字を当て嵌めるようになった。馬頭鬼のようにでっかいヤツという意味になる。

 これが「鬼大頭」の由来だ。

 はい、どんとはれ。

 

 全編が下ネタだったが、昔話は大概が艶笑小話になっていることが多い(笑)。子ども向けに「イチモツ」の部分を落としたのが今の「昔話」になっている。(もちろん、言い訳だ。)

 ちなみに、オニヤンマの学名は「Anotogaster sieboldii Sélys」で、江戸後期に日本に来たシーボルトの名から取ったらしい。

 こっちを使えば、幾らか高尚になったかもしれぬ。