◎殿様は天守閣には住んでいない
時代劇で「どこそれの城主※※が」と出る時、最初に必ず映るのが、お城の天守閣です。
その次に、その本人の顔がアップになります。これが定番。
そのイメージがあるので、二十歳くらいまで、ついつい「お殿様は、天守閣の上の方にいるに違いない」と思っていました。
ところが、お城の中を見学に行くと、とても居住スペースに向いたつくりとは思えません。
「厨房はどこ?」
「トイレはどうやったんだろ」
階段が急だし、部屋は小さい。とても暮らせません。
その謎が氷解したのは、「天守閣は殿様が住んだところではない」と知った時のことです。
殿様は天守閣ではなく「本丸御殿」という平屋建ての方で暮らしていました。
家来たちは、城下の自分の屋敷です。
それなら何故天守閣があるかと言うと、「敵に攻められた時に、上から攻撃するため」です。
高いところから下に向かって、矢玉を撃つと、命中精度がかなり高まります。
一方、下から上を狙っても、なかなか命中しません。
天守閣の上の方の部屋には、鉄砲狭間が沢山開いていて、下を狙えるようになっています。