日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

下請け・中小企業の悲哀

ミートホープ社比内鶏と、相次いで商品の偽装事件が発覚しています。

いずれも経営規模は中小企業のサイズです。比内鶏は有名ブランドかと思いきや、年商で3億5千万円程度だったとのこと。もし全部が正真正銘の比内鶏だったとしても、1羽2千円から3千円ということですから、ひと月に1万羽程度です。多くはないですが、実際の生産量はそこまでいきません。
普通の鶏なら10倍の数が必要ですが、鶏舎1つで2万羽とすると、30何日かで1回転するという話ですので、どうにかなりそう。
中小企業は「3ヵ月後はどうなっているかわからない」状況ですので、経営を安定させるために最初は少しだけ廃鶏を混ぜてみて、これが全く気づかれないので自然と増えていったということでしょう。

消費者のほうは味の違いに全く気づいていませんでした。
ま、着色料や保存料を使用した肉の色が新鮮な色だとみなすのが、消費者の一般的なレベルなので、味の違いなど気づくわけがありません。
さしたる実害はないと思えば、自殺しかけた比内地鶏の社長の姿は哀れに映ります。

ミートホープ社の事情は少し違います。
こちらは完全なる下請け企業で、大手食品会社に製品を納入していました。
食品会社はパッケージを自社のものに替えるだけで、中の製造は総てミートホープ社製です。

価格競争に勝つためには、仕入れ値を下げる必要がありますが、その企業努力は大概のところ下請けに押し付けられそうです。
「いくらで納品しろよな。でなければおたくとの取引は打ち切り」
(立場を利用してごり押しするこの手の人間は企業社会にはいくらでもいます。)
まともに作ったのでは赤字になります。実際、あの製品を国内で原材料どおりに作ったのでは赤字は必至です。
やってはならないという境界線をいきなり踏み越えるのはなかなかできないことですが、少しずつ踏み出していく時には抵抗が小さくなります。

ここの社長は、途中から確信犯に近くなっているようですので逮捕も必定ですが、責任を下請けの中小企業だけに押し付けるのはどうかと思います。
納品先の食品会社だって、プロなら「絶対にその単価ではできない」ことを知っていたはずですね。
もし知らないと言いはるなら、そのこと自体、食品を売る資格が無い証拠になります。
食品会社の仕入れ責任者も「未必の故意」以上の責任があるように感じます。

発注した会社も同罪なので、もしこちらに処罰が及ばないとなると理不尽な気がします。