日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第79夜 郷里の自室にて

ひと晩で仕事をこなす必要があり、「1時間経ったら起こして」と妻に言いつけ、居間のカーペットヒーターの上で横になりました。
妻は隣に座りDVDを観ていましたが、私はすぐに寝入ってしまいました。

「ああ、面白かった。じゃあ、ワタシはもう寝る」
なにやら、妻が話す声が聞こえます。
オレは「夢うつつ」の状態なんだな、と自覚しました。
そのまま、また寝入ります。

しばらくすると、徐々に手足の感覚が戻り始めました。目は醒めつつあるのですが、まだぼんやりしています。
自分は畳の上に横になり、半身をコタツに入れていました。
あれ、コタツなんて出していたっけ?
これは夢なんだな、と自覚します。

薄目を開けると、そこは郷里の実家の自分の部屋です。
高校を卒業するくらいまで居た家で、その家には今は誰も住んでいません。私が居たのは、高校時代ではなく今の古ぼけた、カビだらけの部屋でした。

電球が切れており、部屋は真っ暗。
外を自動車が通るたびに、窓から灯りが漏れてきます。

「トントン」
母です。母は昔、ドアを直接ノックせずに、ノックの口真似をしました。
「寝てたのかい」
母の姿は昔のままで、40歳くらいです。
「オマエに渡しておくものがあるからね」
母は風呂敷包を取り出してそう言いました。

「まずこれはこの店で両替した古いお金や記念貨幣だよ。オマエが帰ってくると思って取っておいた」
高校生の頃はまだ旧貨幣がレジに混じることがあったのですが、コイン収集を趣味としていた私は母に頼み、取りおきしてもらっていたのです。

「それから、こっちはワタシの簡易保険の証書。そろそろオマエに渡しておくからね。銀行の方のは○○(兄)に渡して、ワタシが死んだ時葬式代にしてもらう」
最近、高齢になってきた母はこの夢と同じようなことをしきりに言うようになってます。

「いらないよ」
「え」と母は聞き返します。
「金なんかいらないよ」
母が死んだ後の話なんか聞きたくない。死ぬ時の準備もしてほしくない。
ずっと長生きしてくれよな。

その時玄関のドアがバタンと音を立てました。
「誰かいねのか!」
叔父でした。叔父は昨年亡くなったのですが、私が里帰りしたので見に来たようです。
「あ、○○ちゃんが帰ってる」
そう従妹が言う声が聞こえました。玄関先の私の靴を見つけたのでしょう。
ちなみに従妹はもちろん今も元気です。

自分の心は何十年経っても、この部屋から出てはいないのだな。
今の自分の頭に戻り、そう考えています。

ここで覚醒。
過去と現在が入り混じった夢でした。記憶と感情を整理する内容なのでしょうか。