日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第80夜 レミング 2

地下鉄の駅、プラットホームに立っています。
電車が入ってくるのが見えました。
ホームの端に歩み寄ります。

線路が見えました。
(あ、中に人が!)

3人の人が線路の上に立っていました。
皆電車の進行方向とは逆の方向を向いています。
「危ない!轢かれる」
助けなきゃ。
線路に下りようとすると、腕をつかまれました。
「下がってないと、撥ねられた人が飛んできて、こっちも怪我をするよ」
男は平然としています。
「反対側を見な」
ホームの逆方向に顔を向けると、線路にはまだ10人以上の人が立っていました。
「こんなにいるのに、どうやって助ける人を選ぶわけ?」

すぐに電車が入ってきました。電車は全くブレーキを掛けずにそのまま進行しました。
目の前の数人が空中に跳ね飛ばされます。
(うへへ。ぐちゃぐちゃだよ。)

さすがにすぐに電車にのる気持ちにはなれません。
1分後、高らかにベルが鳴り、電車は駅を出て行きました。
もちろん、線路を覗く気持ちには到底なれませんでした。

すぐに次の電車が駅に入ってきました。
電車というより、昔、寒冷地を走っていたディーゼル機関車のような形をしています。
下部には除雪車のように両側へ斜めにプレートがついており、その後ろではブラシが回転しています。
「清掃車だよ。都会ならでは、でしょ。アンタ、田舎から来たんだね」
先ほどの男は私に興味を持ったのか、電車には乗らなかったようです。

練炭とか使えば、これよりは楽に死ねるのに、何でかねえ」
男は独り言のように呟いています。
「ささやかな抵抗という意味もあるんだろうな」

私がベンチに座ると、男もついてきて隣に座った。
「何せ今は高齢者割り増しの時代だ。税金も健康保険も年齢が高くなると負担が増える。要するに少子化の問題を軽減するために、肥大した高齢者層には『早く死んでくれ』という意味だろう」

標高1,300辰了海涼罎飽椶蟒擦鵑任らほぼ15年だ。
その間テレビも電話も、インターネットもない。
世の中がこんな風に変わっていたとは・・・。

「驚いたみたいだね。ホントに田舎から来たんだ。田舎の人は知らんかもしれないが、都会は適者生存の社会だ。もっと分かりやすく言えば弱肉強食。弱い者が減れば財政赤字も減るし、ひいては税も軽くできる」
あ、改革というヤツだ。聞いたことがある。

「今から20年位前にコイズミという政治家が始めた思想だが、いまや全世界の主流だよ。ほら、向こうのポスターを見て」
男の指差す方を見ると、線路向こうの壁面に大きなポスターが貼ってあった。

『コイズミズムは世界を救う』

ここで覚醒。
夢の割にはデフォルメが少なめで、思考が働いています。