眼を開けると、そこは広い浴場の中でした。
温泉かしら。
中央には円形の大きな浴槽があります。
200人以上は入れそう。
ゆっくり体を伸ばしてお湯に浸りました。
周囲には誰一人見当たりません。
湯温が高く、すぐにのぼせ気味になりました。
洗い場に行き、椅子に腰掛けます。
壁面一杯のガラス窓が大きく開いており、涼しい夜風が入ってきます。
「広くて気持ちいいね」
横を向くと、いつの間にか妻が隣にいました。
(ここは混浴かよ)
すぐに人の気配がします。
入り口から、5、6人の人が入ってきますが、湯気でよく見えません。
近寄ってくる人の姿がはっきりしてみると・・・。
おお、あれはまさに南米のインディオです。
長身で190其瓩はありそう。頭には羽飾りのようなものをつけていますが、あとは素っ裸です。
これって、普段どおり?
「ここ混浴だよ。恥ずかしくないか」
妻に尋ねます。
「別に気にしないわよ。もうオバサンだし、あっちだって家族連れだよ」
振り向くと、奥さんらしき女性やお婆ちゃんが湯舟に入ろうとしているところでした。
湯気の向こうでは、子どもたちが走り回っている声が騒がしく聞こえます。
ここは一体どこなんだろ。
山の上のような気がするなあ。
露天風呂へ移動し、岩風呂のへりから外を眺めてみると、真っ暗で何ひとつ見えません。
岩から石をもぎ取り、外へ放り投げてみました。
15秒くらいして、コツンと小さい音がします。
「おおい。ここはとんでもなく高い山の上だぞ」
どうやってここに来たんだろ。
ここで覚醒。
まったく意味が解りません。