◎夢の話 第755夜 どこでも同じ
11日の午後11時に観た夢です。
今で寝入っていたが、ひとの声で次第に覚醒しつつある。
周囲でぶつぶつと呟きながら動き回る足音が聞こえていた。
薄らぼんやりと瞼を開くと、周囲に人影がたくさん集まっていた。
「ありゃりゃ。こいつらは・・・」
明らかに死人で、妄執に取り憑かれた亡者たちだった。
「なあるほど。いつも神社の前まで行き、撮影しているが、どこにでもいるわけだ」
ま、当たり前だ。現界と幽界は重なって存在している。
ただ生きた人間の目には見えず、耳に聞こえないだけの話だ。
「そうかあ。こないだ、神社で玉を貰ったから、以前より余計に先方から俺のことが見易くなったわけだ」
常時、集まって来るようになったら、それこそやっかいだな。
すぐ目の前には、般若みたいな恐ろしい顔をした女が立っていて、俺のことを覗き込んでいる。
その脇では、これまた鋭い目つきの男が顔を寄せるように近寄っていた。
本当にうんざりする。
すると正面の女が口を開いた。
「助けて。助けてちょうだい」
これで俺は納得した。
「やはり、助けて欲しいから手を伸ばしているわけだな」
ま、俺は「仲間と見なし、協力する」と約束したっけな。
それなら、一層、俺に助けを求めるのは当たり前だ。他に自分を見てくれる者はいない。
「分かった。何か考えるから、安心して待っていろ」
一人ずつご供養を施してあげる。
すると、亡者の顔がすうっと薄くなった。
ここで、俺はそいつらに告げた。
「俺や俺の家族、周囲の者に悪さをするな。しがみ付いてもダメだ。もしそうしたら、ぶった切って闇に突き落とすからな」
すると、亡者の顔は、水にインクを零した時のように消えて無くなった。
俺は慌てて、ひと言を付け足す。
「それと、この貸しはいずれ返して貰うからな」
これをきちんと言って置かないとな。
俺は完全に目覚め、体を起こした。