◎死にゆく者のための祈り(486)
私の実家は商店だが、そこに小中生時代の同級生が一人働いている。
兄に連絡すると、その同級生のK君が「亡くなった」とのこと。
そこで、ご供養のために、昨日に引き続き、今日も参拝することにした。
「ご供養」は仏さま向けの言葉だが、意味は変わりない。
神殿では、その同級生が安らかに眠ることが出来るよう願った。
帰省する度に、K君は「皆で一杯やらないか」と誘って来たが、私は外で飲酒が出来るような状態ではないから、いつも断って来た。
付き合いのために命を賭ける者はいないが、実際、私は20分と椅子には座っていられない。
このため、K君と一緒に酒を飲んだことはない。もちろん、この5年は他の誰とも酒を飲んだことは無いのだ。
K君とは、店で顔を合わせた時に、少し世間話をする程度だった。
何かしら持病があったのだろうが、もちろん、私ほどではない。
詳細はまだ聞いていないが、郷里はかなりの田舎で事故は少ない。中高年にありがちな梗塞系の病気にでも罹ったか。それなら、ある日突然、その日がやって来る。
ある程度の闘病期間があれば、それなりの覚悟が出来、死後に迷うことも無い。
だが、死を迎え入れる準備が出来ていないと、「この世」に近いところに留まることになる。
そうならず、K君が自らの死を受け入れられることを切に願う。
この日は好天だったので、神殿は日陰になっていたが、やはり説明に困るものが見えていた。
所々に白い服や着物を着た男女が写っており、現実にいる参拝客のように見えるのだが、コートなしの白い着物、白い背広上下だけでは、まだ寒いと思う。夏の服装だ。