◎夢の話 第790夜 SNS
26日の午前二時に観た夢です。
我に返ると、パソコンの画面を見ていた。
どうやらSNSらしい。
俺が記した記事の後ろに、何やらコメントが付いている。
名前の記載があるが、誰かは知らない。
「おかしいな。俺は面識のない者とやりとりはしない。ネットそのものを信用していないから、SNS友だちも作らない。見知らぬ人から何か働きかけがあっても、答えることは無い」
当たり前だ。俺は普通の人の、たぶん、1/3くらいしか使える時間がない。
交流をしている暇などないわけで。
書き出しはこうだった。
「私が相模で暮らしていた頃、こんなことがありました」
ドータラコータラと長い文章が続く。
「しかし、この人はどうやって、俺のSNSに入ったのだろ。面識のある人とは幾らか友だちになっているが、それ以外には記事を開いていない。俺は存在していないのと同じだから、知りようがない筈だが」
ま、数少ない、友だちの友だちかもしれん。設定によっては見られることもある。
ここで画面の記事に戻った。
もちろん、真面目には読まないのだが、文章が進むにつれ、文体がおかしくなって来た。
「それでも、しがしまくるし、これがしろのせおれ、※▼□だとして」
今度はこういう文章が数十行も続く。
「やや。コイツ。精神状態がおかしくなっているか、それとも」
生きている人間ではない。
時々、街を歩いている時に「声」に呼びかけられることがある。
その多くは「助けて」だ。
ホテルの八階に泊っている時に、洗面所で顔を洗っていると、壁の向こうから声が響いたことがある。
「助けて」
え。どういうこと?
隣の部屋で何かあったのか。そう思うほど大きな声だ。
手を止めて様子を見たが、その後は静まっている。
「気のせい、にしてははっきりしていたな」
タオルで顔を拭こうとすると、もう一度、壁の向こうで「助けて!」と叫んだ。
「こりゃ尋常ではないな。確かめてみよう」
部屋の外に出て、声のした側に行ってみることにした。
だが、俺の部屋は角部屋だったから、そこに部屋があるわけでは無い。
「非常階段だろうな」
しかし、そこには出入り口がなかった。窓はあるがベランダには出られない。
ベランダそのものが存在しないのだ。
「おいおい。声がしたのは空中からじゃないか」
しかもここは八階だし。
ほとんどの「声」がこんな感じのヤツだ。
「助けて」「助けてください」と叫ぶ。
だが、人ではないのだから、助けようがない。
結局、どうせ助けられぬのなら、こういうのは無視するに限る。
しかし、たまに長く話す者もいる。
ほとんどが後悔や懺悔を愚痴る内容だ。
「何故俺はあんなことをしたのだろう」
その続きが、よく聞き取れない。
「あの時の俺は、※▼□〇×だったから、※◇△だったんじゃないか・・・」
これが延々と続くのだ。
目の前の記事は、まさにそういう文章だった。
もはや文章とは言えぬ内容で、死人の語り口とまったく同じだった。
「きっと、死んでもスマホをいじっているヤツだろ」
死ぬと思考能力が無くなるから、論理的にものを考えることが出来なくなる。
ただ感情の断片を吐き出すだけの存在になるのだ。
「いい加減、もう死んだことを悟り、自由になれよな」
カーソルを走らせる。
長い長い文章が終わると、その記事の後ろに、コメントがついていた。
こっちも聞いたことの無い名前の主だった。
「しもののながれ、いちりりい※▼□〇×※▼□〇×」
うひゃあ、コイツもか。
「それじゃあ、もしかして」
ずっと下まで行ってみることにした。
それから、終点を探したが、どこまで行っても見知らぬ「誰か」の書く、意味不明の文章が果てしなく続いていた。
ここで覚醒。
ドアをノックしたり、囁いたりするだけでは動じなくなったので、新手のパターンを考え出した模様だ。