◎夢の話 第785夜 トラック
14日の午前四時に観た夢です。
我に返ると、道の端に立っていた。
徒競走のスタート姿勢と同じ格好で、道の反対側を見ている。
右手が小さいから、たぶん、俺は子ども。五歳か六歳だろう。
横を向くと、遠くの方からトラックがやって来るのが見える。
戦後の復興が進み、今は道が大混雑していた。建設工事の現場に向かうトラックがひっきりなしに通るから、道を渡るのも容易ではない。
あのトラックはまだ二百㍍は先だから、どんなにスピードを出して来ても、俺のいるところには届かない。
「今なら渡れる」
そう考えて、道の中央に走り出た。
すると、反対側からクラクションの音がけたたましく響いた。
俺は気付いていなかったのだが、逆方向から別のトラックが来ていたのだ。
おそらく五十㍍手前の交差点を曲がって、スピードを上げたところだったに違いない。
間髪入れず全身が何かに当たった。
俺は三十㍍は空中を飛び、道の脇の畑に転がった。
上を向くと、空が真っ青だった。
「まだ子どもなのに、もう死ぬんだな」
不思議に痛みを感じない。
ここで覚醒。
最も直前に「死んだ」記憶は、昭和二十六年頃だと思う。
この夢を初めて観たのは四歳くらいで、あまりにもリアルな感覚だったので、目覚めた時に自分が誰か分からなかったほどだ。
以来、その夢を観ている自分自身の夢を観る。
致命傷を得た時には、割と痛みを感じないのだが、おそらく神経系統に障害が出るからだと思う。体中が「熱い」感覚があるのだが、痛みは無い。