もし同じものを所有する人がいれば、「何らかの反応があるだろう」と考え、発見の経緯を記してきたわけだが、どうやら「持っている人が少ない」か「別のものと見なされている」ようで、無反応だった。
ちなみに、密鋳銭には、これと同じ仕様のものは無い。
この場合の仕様とは、「材質」、「鋳砂」と「輪側研磨のための装置」である。
公営・公許の銭座では、短期間の何百万枚という数を生産するわけだが、それを可能にするには、大掛かりな装置が要る。
密鋳銭はどこかに「間に合わせ」の要素が入り込む。
また、錫は高価であるから、ふんだんには使わない。
もう同系統の品の存在が確認できるなら、「文久手」、すなわち「文久永宝と同様の作り方をした寛永通宝」ではなく、「文久期寛永銭」に昇華出来る。
どこかに拓本があるだろうと思っていたが、数日前にそれらしきものを発見した。
イは銭自体に歪みがあるため、少し拓にぶれが出て、右側の輪が少し厚くなった。
ペラペラの薄い銭で、現物、拓本共に見すぼらしいが、少数枚を試験的に作成してみたのだとすれば、歴史の証人となる。
よって、これを無視することは出来ないと思われる。
いずれも小字なのだが、幾らか「型」(=書体)が違うのではないか。
類品の発見が待たれる。