◎具合が悪い時
体の具合が悪い時に生じる典型的な症状(?)のひとつは「声が聞こえる」というものだ。
この場合の「声」とは、「そこにはいない筈の人」の声のことだ。
普段にも時々、聞こえるのだが、さすがに回数は少ない。
内容もほぼ「助けて」だ。
ちなみに、こういうのは字面で想像するよりはるかに大きな声だ。驚いて思わず背筋が伸びてしまうほどだ。
かたや具合が悪い時は、何やらぶつぶつと独り言のような話をしていたり、複数が会話をしているような声が聞こえる。
それが実際にそこにいる人の声ではないと確信するのは、午前3時頃だったり、「すぐ近く」で聞こえることによる。
他人の家の窓ガラスに額がつくくらいの位置で、独り言をつぶやく者はいない。
こういうことがあると、「今の俺はかなりヤバい状況にある」と自覚する。
幻覚・幻聴は、死期が迫った者にはつきものだ。
あるいは、自分の頭がおかしくなっているかの二つにひとつ。
もちろん、最初は自分自身の精神状態を疑う。
それでも、翌朝、家人が「今朝はまだ夜中なのに、ひとの話し声がして煩かったね」と言ったりするから、幻聴でも「頭がおかしくなった」のでもないことが分かる。
近所ではなく、当家の居間の窓ガラスの外でしていたのだが、ま、家人にはもちろん言わない。
「ああよかった。俺の頭は無事だ」とホッとする一方、それは「余計に不味い事態」だと悟り、ゲンナリする。