◎イリス三姉妹
(これまでの経緯にあたる説明は省略。)
頭の中で「この者の名はイリスと言う」声が聞こえ、それからは、この悪縁を「イリス」と呼ぶことにした。
ところが、「イリス」には近しい存在が複数いる。
トップに立っているのが、「スペードの女王」すなわち「黒い女」なのだが、この他にも繰り返し姿を現す者がいる。
少なくとも三つのパターンと姿を持つので、これらを「イリス三姉妹」と見なすことにした。
前回説明したが、「姉妹」は血縁関係ではなく、序列のことだ。
ひとまず、共通点を基に三つを抽出してみる。
丹念に画像を探すと、いずれも5~10枚くらいは見付けられると思う。
1)イリス(長女)
髪が胸元まである。視線が極めて鋭い。
当初は人影かどうかも定かでないようなシルエットだったが、最近、顔を晒すようになって来た。多くの僕(しもべ)を従えている。
2)イリス(次女)
髪が肩口までの長さで、身長が180㌢以上あることが多いので、「大きな女」と仮称していた。ひとの心に悪意を吹き込む。
3)イリス(三女)
これまで「白い女」と呼んで来た女の幽霊で、髪が腰の近くまである。
白いノースリーブのワンピースを着ていることが多い。
煽情的で、男女の情欲を掻き立てるのが得意なのではないかと思う。
ただ、あまり強い念を出していないので、どれがイリスの仲間なのかをまだ特定できていない。
「あの世」でのルールは、「この世」の善悪とは違う。
心の中に欺瞞や邪な感情(悪意)があれば、悪縁(霊)がそれを見逃すことはない。
イリスはそういう嘘や欺瞞、悪意を掻き立て、ひとを破滅に導く。
この世の者の心は、いずれも汚く醜いから、イリス姉妹の眼を逃れることは出来ないと思う。
「あの世」での大罪のひとつは、確実に「欺瞞」だろう。
なお、私は、いつか「イリスと争う」ことになるような気がしている。今のところ、長女は大関級の力量だから、私はまだ敵わない。
心構えはやはりこれ。
「敵を知り、己を知れば、百戦して殆(あや)うからず」
まずは悪縁がどういう性質のものかを確かめることが前提になる。
ちなみに、堂々と顔を出す長女のような者もいれば、ピントを合わなくしたり(次女)、うっかり自らを晒してしまう者(三女候補)もいる。