◎ドキッとさせられる
悪夢を観て深夜に目が覚めた。気を取り直そうと、コーヒーを淹れ、テレビの前に座ってスイッチを入れたら、DVDが動いた。夕食後に観ようと思い、入れっ放しにしていたらしい。
それが英国映画の『悪魔がみている』(“Amulet”、2020)だった。悪夢の後にホラー映画ではさすがになんだが、目覚めている分には平気だ。ただの作り話。
映画自体はハリウッドとはタッチが違うから新鮮で、割と真面目に観た。
筋自体は単純で「男が悪魔に絡め捕られて行くが、それが宿命だった」みたいなものだ。
終盤になり古代悪魔が姿を現すのだが、そこで少しドキッとさせられた。
女の悪魔なのだが、男根をイメージさせるような体型だ。出発点が修道女のイメージから創られた造形物になっている。
だが、この佇まいは、どこかで見たのとよく似ている。
そう感じたからドキッとしたのだ。
すぐにファイルを検索したが、記憶にあるので、探し当てるのは簡単だった。
昨年の二月の画像で、「防護服の男」を撮影した二週間後のものだ。
例によって、神殿のガラスに映る自分自身を撮影したのだが、背景に建物の屋根が見えている。その屋根の上に何やら黒いシルエットが立っている。
その影の向こうに屋根が見えているので、ガラスの内側(建物の中)にある物が写ったわけではない。あくまで屋根の上にあるということだが、中央なので、周囲にはこの影を作る樹や柱がない。
殆どの人にとっては、ただの黒い影に見えると思うが、私には人の影に見えた。
これは当時の記事にも書いている。
それまでも、修道女の着るような黒い服を着た女の姿を目撃していたので、「黒い女」と呼んでいたのだが、たぶん、それと同じ者だ。
何となく禍々しい印象を受けるのも同じだ。
その時から「黒い女」の様々なパターンのうち、修道女っぽいのを「スペードの女王」と呼ぶようになった。十か月くらいはそう呼んでいたと思う。
この「黒い女」「スペードの女王」の佇まいに、映画の中の悪魔像が似ていたから、ドキッとさせられたのだった。
人間がイメージする悪霊や女悪魔、魔女には、やはり共通点があるようだ。
今は幽霊が寄り集まって悪霊化した女のことを、総じて「イリス」と呼ぶようになった。
これは何者かの声に教えて貰った(あるいは想像した)ことによる。
普通の幽霊は知能を失っているから、自身の感情のままに行動するのだが、イリスのように何十何百と幽霊を取り込むと、物を考えるようになるようだ。
もちろん、それも生きた人間のような論理的な思考によるものではなく、総てが悪意に基づくものとなっている。