日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎敵を知らば

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私に集まる幽霊。私が特別ではなく、皆の周りにもいる。

敵を知らば

 連日、血圧が二百超え。さすがに調子が悪い。おかげでこの日(七日)も検査になってしまった。

 今週は患部毎に検査を受けているから、ほぼ毎日病院通いだ。

 「通い」と言っても、七時前に病院に入り四時頃まで居るから、九時間に及ぶ。これなら、入院しているのと変わりない。

 検査の合間に、自分のベッドに戻り、ごろごろとしているわけだが、その時間を、看護師と世間話をして過ごしている。

 やはり、オバサンやオジサンの方が話しやすい。

 

 検査待ちの間に師長が来たので、小さい依頼をした。

 師長は「疑いなく幽霊が存在する」と分かるような画像を見ているので、病院では唯一、「あの世」の話も平気だ。

 「仕事柄、色んな患者さんを見ているだろうけれど、『お迎えに会った』という人はいましたか?」

 「話には聞いていますが、テレビドラマみたいなものばかりです」

 「直接、『自分のところにお迎えが来た』という人は無かったのか」

 ま、そりゃそうだ。現実に「お迎えが来た」なら、殆どの者が、あの世に連れて行かれる、ということだ。戻っては来ない。

 そこで、私の遠縁の金太郎さんの話をした。

 末期がんで「最後の退院」をして家に居る時に、玄関からずけずけと男が中に入って来た。

 自分を連れて行こうとするので、金太郎さんは「ちょっと待ってくれ。俺はまだ一緒に行くわけにはいかない。今はまだし残したことがある」

 すると、青黒い顔をした男は「それならまた改める」と言い残して、家から出て行った。

 金太郎さんは「余命あと僅か」の筈だったが、それから一年後に亡くなった。

 

 「この話が残っているのは、お迎えが帰ってから、割合、時間があったからなんだよ。金太郎さんだけでなく、私にもお迎えが来たことがある」

 何年か前に、心臓の治療を受けた後、ベッドに座っていたら、唐突に病室のドアを開けて二人組が入って来たのだ。

 自身の体験談は幾度も書いたから、ここでは省略。

 

 「私はこういう話を集めているんだよ。もし、お迎えがどういうヤツで、どういう対処をすればよいかが分かったら、死期を幾らか先延ばしに出来るかもしれないからね。そこからの時間は他のものには代えられぬ貴重な時間になるだろう」

 師長はお迎えの外見に興味を持ったらしく、「どんな感じのヤツか」について、詳細に聞いていた。

 ま、外見は普通の人間だ。だが、とにかく「凄まじい」。

 ひと目で「コイツはこの世の者ではない」と悟る。これは私だけでなく、誰でも一瞥でそれを知ると思う。

 師長は「では、仲間から聞いて置きます」と答えた。

 「でも、何故、今になり調べ直したりしているのですか?そのうちまた来るかもってことですか」

 「遠巻きにしてこっちを見ている実感があるからだよ」

 実際、原因が見つからぬのに、あちこち具合が悪くなっている。

 

 金太郎さんが一年で、他には半年という人もいた。

 私は何年も(六七年)生き残っており、今のところ最長不倒期間だ。

 普通なら「気のせい」「気の迷い」といって片付けられそうな出来事でも、過去に一度でもアレに会ってしまえば、万事をお迎えと結び付けて考えるようになってしまう。

 今からでは遅いのかもしれんが、ひとまずもう一度、「敵を知る」ことからやり直そうと思う。

 ちなみに「己を知る」方は生涯無理だ。自分自身に関することが最も把握し難い。

 

 画像みたいなのは、多くが不鮮明だから、別の言い訳がつく。

 だが声の方は、脳内で起きているとは到底思えぬ。

 扉を隔てたり、かなり離れたところから聞こえるためだ。