◎古貨幣迷宮事件簿 「文化年間の紙」
古文書の整理をしていると、文化年間の書き物の間から白紙が出て来た。
思わず「おお。文字が書いてあるものより値が付くヤツだ」と声に出した。
紙自体がその時代に作られたものだから、どこをどう調べても「その時代のもの」という検証結果しか生まれない。
白紙はそれを専門に扱う「紙屋」が存在する程だ。
古文書を偽造する場合、紙や墨がその当時のものでなくては話にならない。
何百年も前の人でも、昔に関する作り話を記す時にはそれくらいの配慮はした。
よって、如何にも珍しい書き物が出たとしても、内容を鵜呑みにしてはならない。
古文書を専門に研究する人たちはさぞ大変だろうと思う。
画像のサイズくらいなら、著名な人物の署名をつけて、よさげなメモを残すのにちょうど良い。末尾に「蒲生忠三郎」(一例だ)などと記されていれば、誰でもドキッとする。
隣の画像は経木に記された書付けになる。
田舎で紙は貴重だったから、経木で代用した。紙よりも経木の方が実用材として古いから、「代用」というのは適切な表現ではないかもしれぬ。
難点は「割れやすい」ということだ。