日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎病棟日誌 悲喜交々 5/16

◎病棟日誌 悲喜交々 5/16

 看護師のエリカちゃんは今年三十になったが、この度「弟が結婚することになった」と言う。

 コロナ自粛が解禁となり、弟が「式をやる」と言い出したそうだ。

 ところが、この数年でエリカちゃんは外出自粛の影響もあり、十キロ近く太ってしまった。

 その間に二度友人が結婚したが、披露宴は自粛でキャンセルになった。式用のドレスを買っていたが、二着は取り置いたままだ。

 勿体ないから、それを着ようと思うが、体が入らない。

 「式までにダイエットしなくちゃ」とこぼしている。

 だが、三十を過ぎたら、痩せるのが容易ではなくなった。

 自分は自粛で結婚式を上げなかったのに、弟には親族だから祝儀を五万は包む必要がある。「頭が痛い」とのこと。

 

 病棟で自分の番を待つ間に廊下に出ていたが、そこで他の病棟の医師と看護師が立ち話をしていた。

 人員の配置のことに関する内容だ。

 「あの先生とあの人(看護師)が感染したから、人を補充する必要があるが、今は回せない。どうしようか」

 そんな類の話だった。

 コロナの扱いが替わり、ニュースにならぬどころか、幹線数自体もカウントしなくなったわけだが、実際には感染者数は変わらず、死者もどんどん出ている。

 ほとんどの人は重篤な状態に陥ることがなくなったから、別に扱いはそれでよい。

 オミクロン株は特定の者だけを選び、重症化させるが、それが腎不全患者。感染したら必ず重篤化して多くが死ぬ。

 病棟では、そのことが分かっているから警戒心は変わらない。

 自分自身が腎不全患者だから、言っても差し支えないと思うが、「これも自然淘汰」だと思う。

 既に弱っているから、インフルエンザだって耐えられない。

 これは仕方がないこと。

 ただし、自分たちには問題がないからと言って、大勢がいる前で傍若無人なことをすると、その中には当方らのようなものが混じっているかもしれんと思うことだ。

 当方らには凶器で襲われるのと同じ意味なので、当然対抗措置は取る。その時に命を失うのは淘汰されるものばかりでは無いことを知るべきだ。リスクはどこにでもある。

 

 ま、当方の場合は、後ろの悪縁をちょっとつけてやればそれで済むと思う。さて、どれくらい神経がもつかな。悪霊は想像の産物ではなく現実だ。

 穏やかな日々は五六日だけで、今日からはあちこちで「ゴットゴト」の音が始まっている。