日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第105夜 プラットホームにて

気がつくと、駅のプラットホームに立っていました。
もう深夜に近い時刻で、辺りは真っ暗です。駅の構内には私1人ではないでしょうか。

「この駅はどこ?」
どこかで見たことがあります。茨城の海沿いのどこかか、あるいは黒磯付近か。
いずれにせよ、25年から30年は前の情景です。

裸電球のついた電灯が10辰きに立っているだけの、薄暗い中を、汽車が来るのをひたすら待ちます。
季節は・・・秋ですね。虫の鳴く声が聞こえます。

駅員が1人、近寄ってきます。
数辰曚匹如△茲Δ笋顔が見えました。
初老の男で、鼻の周囲が赤らんでいます。
(「この人、酒を飲んでいるんじゃあ?」)
もちろん、口に出したりはしません。

「切符を見せてもらえねがなあ」
駅員は右手を開いて差し出しています。
私は左の内ポケットから、切符を取り出し、駅員に渡しました。
駅員は、私の切符を手に取ると、しげしげと眺めています。

汽車が入ってきました。今風の電車ではなく、機関車を先頭にした昔風の汽車です。
シュッポ、シュッポ。
目の前に停止すると、一斉に蒸気を吐き出しました。2人の周囲が白く煙ります。

「もう乗りたいんですけど・・・」
そう言っても、駅員は答えません。
ジリジリと発車のベルが鳴り始めています。
「切符を返してもらえませんか」
せかすように言うと、駅員は首を振ります。
「これでなく、次の急行に乗るといいよ。鈍行は途中で終点になるから、今夜はそこから先へは行けない」

汽車を1本やり過ごします。
10分ほどで、次の列車が入ってきました。今度はディーゼルです。
ホームは線路をはさんだ向こう側ですが、線路を横断するように通路が敷いてあり、それを渡って列車に近づきます。
ステップを上がり、車両の中に入りました。
中は昔風の木づくりの客室です。入り口近くの、木で出来たボックスシートに向かいます。

後ろから別の客が、私に続いて客室に入ってきます。
振り返ると、子どもが1人立っていました。
「坊や。1人かい?」
「そうだよ」
「この時間に1人でどこへ行くの?」
「父さんのとこ」
普段は母親と暮らしているが、時々、父親のところへ行くのだそう。
両親は離婚したんですね。
「そうか。頑張れよ」
凍った蜜柑を1つ、子どもに渡します。

椅子に座り、外を眺めています。
駅の周囲は、大半が森で、街燈の電球が1つ2つ見えるくらい。
寂しい景色です。

ふるさとを出て、もう30年が経ちました。
年老いた父母は今も元気でいるのでしょうか。
放埓な生活を送っていた息子が、両親に会うための旅です。

ここで覚醒。
DVDの「今宵、フィッツジェラルド劇場で」を観ながら、眠りに落ちていました。