日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第129夜 大津波

山際の細い道を数人で歩いていました。
私の前には案内の男の人。後ろには、息子がいます。

急に視界が開けたと思うと、お城の堀のような水濠が見えました。中にはほとんど何もない空堀です。
案内人が振り向きます。
「ここは鉄砲水が下の町を襲わないように、山からの水を一端堰き止めるためのものです。さっき雨が降ったから、もうそろそろ来るんじゃないかな」
ふうんと思ったのも束の間で、すぐさま濁流が押し寄せてきました。見る見るうちに、水濠が一杯になって行きます。
「こりゃスゴイねえ。怖いくらいの勢いだ」

また道を進みます。
再び視界がパアッと開けると、そこは岬でした。
岬の先には、これまで見たことがないような大きな堤防が連なっています。
「防波堤にしては随分と高い堤防ですねえ。30辰らいの高さはあるのでは」
その防波堤はまるで山奥のダムみたいな高さです。

岬の端に進み、防波堤の上に立ってみます。
やはりかなりの高所で、磯ははるか下に見えてます。
「父さん。少し怖いよ」
息子は、あまりの高さに怖気づいたのか、私の傍にいました。

案内人がなにやら電話で話をしています。男の声には、差し迫った事態が来ているかのような緊張感がありました。電話が終わると、案内人はこちらを振り向きました。
「海底地震があったとかで、ここにもすぐに津波が来るらしいです。あと数分」
えっ。あと数分じゃあ、岬の上まで上がれないぞ。
おまけに、ここに来る途中の道は防波堤より一段下がった高さです。

「この堤防を戻る途中で津波が来ると、波の高さによっては被ってしまうかも。灯台の方に行きましょう」
灯台は、防波堤のさらに先にあります。
下まで30辰發△詼蒜板蕕覆里法△海譴魃曚┐觜發気猟吐箸来るなんてことがあるのかしら。
ともかく、小走りで灯台に急ぎます。

波打ち際がすうっと引いてゆき、海の底が露になってきました。
沖に向かって40、50辰和爐い燭任靴腓Δ。
「こりゃ不味いね。この引きようじゃあ、かなりの大津波だな。まあ、いまさらどうしようもないけど」
三人で顔を見合わせます。

すぐに波が来ました。
真っ黒で、空に聳え立つような高い壁です。
入り江に向かって近寄る津波は、「ズズズズ」と重い音を響かせながら近寄ってきます。
これは生涯初めて、と言うより、映画とか写真でも未だかつて見たことのないような大津波でした。
「この下の防波堤を越えるのではないかな」
30辰遼蒜板蕕、ペラペラの紙細工のように見えてきました。

ここは灯台で、防波堤より10辰蝋發い韻譴鼻波に浚われ、壊れてしまうかも。
急いで腰のベルトを外し、私の腕と息子のベルトに結び付けました。
ここで空のペットボトルを持っていることを思い出し、蓋を閉め息子に渡します。
「シャツの下に入れとけ」

もうすぐ、この灯台の方にも波が回ってきます。
息子だけでも助かってくれないものか。
三人で、近寄ってくる黒い壁をじっと眺めています。

ここで覚醒。

水は「感情」の象徴で、なにか喜怒哀楽の感情の波(多くは愛惜の情)が、私の心に押し寄せているのだろうと感じます。
でも、大丈夫。何があっても、父は息子を守ります。