日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第149夜 蝦蟇蛙

道を歩いていると、道路端になにやら茶色い塊が見えてきました。
直径が1.5㍍くらいの小山です。

近くに寄ると、その茶色い山の頂きが急にパックリと割れます。
「んがあ~」
土の山が、喚き声を上げ始めました。

おお、何だ。生き物かよ。
びっくりして、数㍍脇に避難します。

離れて眺めると、割れたように見えたのは口で、その茶色い小山は、蝦蟇蛙のような生き物でした。
蛙は、でかい口を開け、「ずずずず」と掃除機みたいな音を立て、息を吸い始めました。
20㍍四方の空気が一気に吸い込まれ、雲のような煙のような筋が、蛙の口の中に入って行きます。

ひとしきり吸うと、蛙は前よりも少し大きくなったような気がします。
「何だコイツ」
その私の声が聞こえたのか、蝦蟇蛙が私の方に視線を向けます。
気持ち悪いので、また2、3歩後ずさりしてしまいました。

「オイ」
蝦蟇蛙が私に声を掛けてきました。
まさか飛びついて来たりはしないだろうな。
「オレのことを、キモイとか思ってるだろ」
そりゃそうだ。実際、どでかい蝦蟇蛙だもの。
「そう嫌ってくれるなよ。オレはお前さんがたのために、こんなことをしてるんだから」
蝦蟇蛙は言い訳めいた話をし始めました。

「オレはね。世の中に蔓延している害悪を吸い取ってやってるんだよ。人がこの世に撒き散らした、この害悪をね」
蝦蟇蛙は、自分の体に較べると、はるかに小さい手を空に向けます。
確かに、空中にはなにやらピンクめいた毒ガスのような煙が充満していました。
「ま、幾らこうやって吸い取っても、所詮は無駄なんだけどね。幾らでも出てくるし」
そう言うと、蝦蟇蛙は再び「ずずずず」と息を吸い始めます。

吸引が終わると、蛙はまた私の方を向きます。
「オレたちが幾ら頑張っても、お前たちは悪さを止めない。だから、もはやこの世の終わりは近いぞ」
「この世の終わり・・・。ハルマゲドンですか」
「昔、ジョンが言っていたことが、もう間もなく起きるんだ」
ジョン。「ジョン」って、もしかしてヨハネのこと?
「それって何時のことなの?この世の終わりまでは、あとどれくらい?」
ここで蝦蟇蛙は、私に小さく頷きます。
「あと2ヶ月くらいだね。本当は来年だったけど、回収が早くなったみたいだ」

回収。回収ってどんな意味だろ。
「その回収ってのは何ですか?」
私が何度も尋ねるので、蝦蟇蛙は幾分ウンザリした表情を示します。
「そんなの。地獄の釜が開いて、その中に悪人の魂を収めるってこと以外にどんな意味があるんだよ」
なるほどです。
この世の人間の大半が悪人ですか。
 
視線を道の先に移すと、500㍍先にも、これと同じような蝦蟇蛙が座っているのが見えました。
ここで覚醒。