日刊早坂ノボル新聞

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M氏は目をつぶっていた

IPS細胞の移植スクープに関連し、当事者のM氏は、コメントする時に目をつぶって話していました。
話をする時に、相手の目を見ずに、ちらちらと右上を見るのは「ウソを言う時」の典型的なしぐさですが、やはり自分の思考の中で言葉を探していたのでしょうか。
まあ、取材に来た記者は多人数でしょうから、M氏はどこを向いてよいのかわからなかったからかもしれません。
 
心理学の解説本や、今風のメンタリズムによると、人がウソをつくときには一定のしぐさ(サイン)があると言います。
ところが、そこで書かれたことは、あくまで素人レベルの人がウソをつくときの話で、玄人(すなわち詐欺師)には通用しません。
 
詐欺師はウソをつこうと思ってウソを口にしていませんので、彼が言っているのはそもそもウソではない。
自分自身が「真実を話している」と信じきれない時は、他人をだますことはできませんよ。
そうなると、詐欺師としての才能は、まずは自分自身をだますことからなのでしょう。
 
昔、周囲の人が口をそろえて、「あの人は悪女」と後ろ指をさす女性と付き合ったことがあります。
実際に付き合ってみると、塵ほども悪女らしいところがありません。
やさしくて、穏やかで、まごころに満ちていました。
近くでその女性を見ていれば、男は皆、「助けてあげたい」と思ってしまう。
目の前にいるその女性は、限りなく「良い人」です。
ところが、その女性が見せる「まごころ」は、ただ1人の男性に対してだけではない。
別の男性にも、同じように親切で、優しくておだやか。
このため、その女性のことを支援する男性は次から次に現れるし、女性もそれを拒まない。
人はそのことを指して「悪女」と言っていたのでした。
 
相手の気持ちを尊重し、自分よりその相手のことを第1に考える。
でも、そういう相手がその女性にとっては「ただ1人の存在」ではない。
その時その時、目の前にいる人に心から対応するので、その女性はウソをついているわけではなく、だましている意識もない。
詐欺師は、自分の頭の中にある、「都合の悪い事実」を消去できるという能力を持っているのです。
 
そう考えると、IPS細胞移植のM氏は、詐欺師としてはアマチュアですね。
自分自身でも、自分のことを信じ切れていない印象です。
 
可哀そうなのは山中教授のほうです。
せっかくノーベル賞をもらったのに、今やM氏のほうがニュースの中心になってます。
「数年したら、混同されてしまうかも」というのは、実際にありそうな話ですので、まるで笑えません。