日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎天使はどこにいる

◎天使はどこにいる
 数日前のこと。
 家人を駅まで送ろうとすると、車中で家人が溜め息を吐きました。
 「ああ。ワタシはもうオバサンで、デブだ」
 確かに、家人はこの十数年の間、毎年2キロ近く太っていますね。ここ十数年で20キロ近く太ったのではないか。
 出会った頃はほっそりしていたのに、今のケツのでかさはスゴイ。

 「でも、カーサンがどんなにババアになろうと、デブになろうと、俺にとってはカーサンは天使だから」
 こう言うと、家人は少し気を取り直した模様。少し表情が明るくなります。
 「それも、ただの天使じゃないぞ」
 「なあに?」
 「ブタの天使」
 やったぜ。
 しかし、家人はこちらが想定したより怒りません。
 ブタでも「天使」は「天使」だからなのでしょうか。
 ここは噴火して欲しいところなのに。

 ところで、こういうジョークは、最初の「お前は天使だ」を如何に真実味をもって語れるかにかかります。
 歯の浮くようなセリフを本当らしく言うには、果たしてどうするか。
 それは「それが真実だと信じる」ことで出来ます。
 当方は性格が性格なので、たぶん、普通の女性と結婚しても、2度3度と離婚・結婚を繰り返していた。まともに家庭生活を営んでいられるのは、家人あってのことで、そういう意味では感謝しています。
 ある意味、まさに天使ですねえ。

 心底からそう信じると、嘘に聞こえません。
 これは「悪女のレトリック」。
 その場その場で、本当に「心の底から相手を思いやる」と相手も同じように信じます。
 ホステスなら客が帰ると「舌を出す」わけですが、悪女はついさっきのことは「忘れてしまう」。
 目の前に現われた男のことを真剣に思いやるから、相手も応える。
 「騙そう」という気持ちが心の中から塵ほども無くなれば、相手を騙すことは容易になるわけです。
 当たり前で、そもそも「騙す」気持ちなど持っていない。

 するそうな詐欺師はいないし、ひとを騙しそうな悪女もいません。
 「まさかあの人が」と誰もが思うくらいでないと、人は騙せない。