なかなか眠れないので、DVDを見ていたのですが、いつの間にか眼を閉じていました。
その時に見た夢です。
地方の温泉街を訪れ、ある旅館に泊まることにしました。
古い旅館で、床板がぎしぎし鳴りそうな塩梅です。
露天風呂に入り、自分の部屋に戻ろうと廊下を歩いていると、大広間で人の声が響いていました。
宴会が始まるのですね。
人数は・・・、声の感じからして70人はいそうです。
「ここはかなりの田舎で、かつ今日は平日なのに、結構な宴会だよな」
これが夜の8時ごろです。
食事をして布団に入ったのですが、夜中に目が醒めました。
トイレに行こうと廊下に出ます。
古い旅館で、部屋にはトイレが付いておらず、その階の真ん中くらいに1か所あるだけです。
廊下を歩いていくと、大広間のほうから話し声が聞こえました。
あれま。まだ飲んでるわけ?
廊下の途中で、壁の時計を見上げると、もはや1時を回っています。
「うわ。どんだけ田舎なんだよ」
私の田舎では、かつては冠婚葬祭があると、1時2時まで当たり前のように飲んでいました。
(ま、その真ん中に座っていた長っ尻は、私の叔父でしたが。)
部屋に戻って布団に入ります。
眼を閉じたのですが、しかし、廊下から宴会場の声が聞こえてきました。
こりゃひどい。「いい加減にやめろ」と、誰も文句を言わないわけ?
大声を出しているオヤジたちの中に、なんとなく叔父の声が混じっているように感じます。
「オイオイ。叔父さんがここにいるわけないだろ」
でも、そっくりです。
「オレが・・・にいたときゃあ、・・・を・・・してなあ」
ああ、叔父の法螺話が始まった。
でも、そんなはずがありません。
「叔父さんはもう死んでるんだしね」
30分ほど我慢していましたが、まったく静まりません。
部屋の時計を見ると、もはや2時です。
「ダメだ。これじゃあ、寝ていられん。帳場に文句を言おう」
そう決めて、起き上がり、どてらを着ました。
廊下の中央まで歩くと階段がありますが、これを下りるとすぐに帳場があるのです。
部屋を出て、廊下に出ます。
すると・・・、廊下の音がピタッと止まりました。
「あれ?そんなはずは」
廊下を歩き、大広間の前まで行きます。
襖の上に明り取りの隙間があるのですが、どうやら中は真っ暗なようです。
「あんだけ騒いでいたのに、おかしいな」
開けてみようかとも思いますが、なんだか嫌な気配を感じましたので、部屋に戻りました。
これは正真正銘の幽霊じゃん。
動かし難いほどの声と気配から始まるのが、本物の心霊現象です。
いやはや。
冷蔵庫から日本酒を出し、コップに汲んで、枕元に置きました。
静かにお経を唱え始めます。
ここで覚醒。
寝る間際に見ていたのが、J.ニコルソンの出ていた「シャイニング」で、これなら、こういう夢を見てもおかしくはありません。
あの映画のダンスフロアとバーカウンターの件はリアリティがあり、本物の幽霊はああいう感じで、はっきりと出ます。
ある県を訪れた際に、夢で見たのと、まったく同じ体験を現実にしたことがありますので、途中でひやひやしました。
大広間の前に立ち、襖を開けたらどうなるでしょうか。
実際の体験のほうでは、その襖を開けてみたのです。
中は真っ暗で、誰1人としていませんでした。それまでの声がリアル過ぎたので、ざわっと背筋に怖気が走りました。
この時の印象が強すぎたので、今も時々夢に見ます。