日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第183夜 赤いじゅうたん

奇妙な夢を見ました。

最初の夢はごく普通のホラー夢でした。
私は25歳くらい。
マイクロバスかキャンピングカーで旅をしています。
田舎町の大学の敷地に迷い込んだのですが、皆同じような建物ばかりで道がよくわかりません。
オープンキャンパスで、街と繋がっていたからです。

仲間は6人。男女3人ずつです。
車を降りて、街の様子を観察します。殺風景なビルばかりでした。
そのビルの陰から若者たちが歩いて来ます。
十数人の若者たちは歩きながら何やら話をしていました。
「ようやく来たね。これで大丈夫」
「良かった。良かった」
何が「大丈夫」なのかと思いますが、皆親切そうな顔をした若者たちです。

私たちの目の前まで来ると、ひときわ背の高いハンサムな若者が話しかけます。
「道に迷いましたか?」
「ええ。カーナビのとおりに来たつもりなのに、今はどこにいるのかわからないんですよ」
「良かったなあ。待っていたんですよ」
私は生来、直感が働く方です。この時、すぐに嫌な予感がしました。

ハンサム青年があまりにも恰好良いので、★美がすぐに近づきます。
★美は男好きで、イケメンが大好き。
「ここは大学?皆さんは学生なんでしょ?」
ハンサム青年が答えます。
「いいや。違うよ」
青年は後ろ腰に挿していた何かを引き抜くと、★美の頭に振り下ろしました。
「バカン」と音がして、★美の頭が割れます。
青年が振り下ろしたのは、大ぶりの鉈でした。
★美の頭から、びゅうと血が噴き出します。

車の傍にいた私の仲間の1人が、すぐに反応して、銃を取り出します。
「ほらよ」
私にも小銃を投げ渡しました。
私たちは強盗団だったので、武器はふんだんに持っています。
前に向き直ると、目の前の若者たちも刀やナイフを出すところでした。
「どどどど」と銃を乱射します。
ばたばたと若者たちが倒れますが、すぐに起き上がってきます。

「何だこいつら。人間じゃあないじゃんか」
(生きてる人間を襲っては、その肉を食らう鬼だな。)
頭の中でそんな声がします。
「遠慮はいらねえぞ。皆殺しにしよう」
「ドドドド」と銃を撃ちまくります。

回りが静かになったので、撃つのをやめました。
ここからが2番目の夢です。

気が付くと、私は独りで大きな建物の入り口に立っていました。
大学のビルのひとつです。
中に入ると、すぐに階段があり、地下に続きます。
1階下からは、床に赤い絨毯が敷いてあります。
2階下ると、壁にも同じ赤い布が貼ってありました。
回りじゅう真っ赤な空間です。

「大学と言うより、ホテルだよな」
でも、壁も天井も赤いホテルはさすがにないでしょう。
何階か下に降りると、ロビーのような広間に出ました。
ソファにはたくさんの人が座っていて、内やら声高に話をしています。
「さっき、あれほど上で銃を撃ったのに、何も気づいていないようだ」
タキシードを着た男や、ドレスを身にまとった女たちは、自分のことにしか関心がないのか、こちらを見向きもしません。
その一瞬、私は昔見た映画を思い出しました。「シャイニング」のバーカウンターの場面です。

再び階段に戻り、下に降ります。
今度の階段は、踊り場が広くなっており、それぞれの中階にソファが置いてありました。
数階降りると、踊り場のソファに裸の女性がいました。
女性は2人で、2人は互いに抱き合って、相手の体を愛撫しています。
若くて、きれいな女性たちでした。

眼を向けないように2人の近くを通りますが、やはりつい見てしまいます。
すると、若い女性2人だと思っていたのに、1人は老婆に変わっていました。
「うひゃあ」
小走りで階段を降ります。

「オレは一体どこに行くんだろ」
階段の手すりから身を乗り出し、下を覗き込んでみました。
階段ははるか下まで続いているようです。
その刹那、「今、自分がいるのは地獄なんだな」と悟ります。
車で走っていた時から、地獄に入っていたのです。
「参ったな。どうしよう」
私の心臓では、階段を上ることができません。

「でも、ここが死後の世界なら、下は下ではないし、上も上ではない」
何度か死にかけたことがあり、三途の川の周辺のルールについては、いくらか心得ています。
まずは生きている時に想像していたことを、全部捨てなくては。
目の前の「かたち」を信じてはいけません。
この辺、宗教や霊能者が語ることはぜんぶが的外れです。
当たり前ですね。そいつらは今生で死んだことがないか、死んでいた時の記憶を持ってはいません。

この階段は、それ自体、私の執着心が作り出したものです。
壁や暗い穴は、私の執着心が変化した象徴のようなものです。
ここで何となく、先が見えました。
「なるほど。今の出口は下にあるのか。地獄は下に続いているわけではないからな」
執着心が晴れるまで、しばらくの間、階段を下り続けなければならないようです。

ここで覚醒。