日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第186夜 エレベーターが怖い

朝方に見た夢です。
 
自分は27歳くらい。
お酒をしたたかに飲んだ後、店がはねたホステスと食事をしました。
その後、タクシーでそのホステスのマンションまで送りました。
 
「じゃあ、また今度ね」
開いたドアから手を振ると、ホステスは「悪いけど、部屋まで送ってくれない?」と覗き込みました。
(あれ。こりゃ、脈があるかも。)
少しエッチな妄想を抱きながら、そそくさとタクシーを降ります。
 
マンションの玄関は、ラーメン店や不動産屋などの並びの横にありました。
「私。自分の住んでるマンションの入り口がなぜかコワイの」
玄関を入ると、すぐにエレベーターがあります。
「やだやだ」
女性は私の腕にしがみつくように掴まりました。
何事も無くエレベータに乗り、5階に着きました。
「私の部屋は3つ目よ」
ドアの前まで一緒に歩きました。
「どうもありがと。じゃあまたね」
(ありゃりゃ。入れてくれるわけじゃあないわけ?)
ま、いいか。
 
もう一度廊下を戻り、エレベーターで下に降ります。
「いったい、何が怖いんだろうな」
左右にドアが開きました。
玄関に向かって歩き出すと、1階の住人らしき人が自分の部屋に向かう姿が見えました。
その男性は私に背中を向け、ゆっくりと遠ざかって行きます。
チンドン屋さんか。あるいはホテルのドアマンみたいな恰好だな。)
ここの駅前にはパチンコ屋さんがありますが、時々店の前でチンドン屋さんが鳴り物を鳴らしていました。
 
数日後、また同じ店に行きました。
ホステスも前と同じH美を指名します。
「こないだはどうもありがとね」
(そういや、少しだけモヤっとさせられたんだよな。)
「別に普通のマンションなのに、何が怖いの?変態でも出るわけ?」
「何ということもないんだけど、エレベーターに出入りするときに、寒気がするのよね」
「じゃあ、今日も送ってこうか」
「どうもありがと。すごく助かる」
こちらは少なからず下心があるので、けして悪くない話です。いずれそのうち、部屋の中に入るでしょ。
 
店が終わった後、やはりタクシーでH美を送りました。
当たり前のように、二人一緒に降り、玄関に向かいます。
先だってのように、H美は私の腕を強く掴みました。
玄関を入り、真っ直ぐ奥のエレベーターの前に進みます。
エレベーターは十階に止まっていたので、これが降りて来るまでドアの前で待ちます。
なかなか降りてきません。
途中の階で何度も止まっています。
 
「なかなか来ないね」
「ウン」
何気なく横を向きます。
エレベーターのすぐ横には階段がありました。
すると、その階段に女の人が立っているのが見えました。
「見えた」と言っても、ほんの少し。
エレベータの陰に、頭と髪の毛がちらっと見えただけで、すぐに女の人は階段の奥に隠れました。
(階段のところに座っていたんだな。何か哀しいことでもあって、泣いていたのかも。)
このマンションは水商売の女性が何人か住んでいるところです。
ま、見ないようにしてあげないとね。
 
でも、人の気配がまったくしません。
「おかしいな。階段を上ってはいないのに」
数歩歩いて、階段の奥が見える位置に移動しますが、そこには誰もいませんでした。
何か嫌な気がします。
 
エレベーターが来たので、H美と一緒に中に入りました。
5階に上り、H美の部屋の前まで送ります。
「どうもありがと。ねえ、お茶でも飲んでく?」
せっかく誘ってくれたのに、先ほどのことが頭にあり、すっかりその気が失せていました。
「今日はもう遅いから帰るよ」
「そう。じゃあね」
エレベータに乗り、階下に降ります。
頭の中は、先ほど垣間見た女のことで一杯です。
H美にはとても言えませんでしたが、あれは人間じゃない。
正確には、生きた人間じゃない。
また下にいたりしたら嫌だよな。
 
1階に着き、エレベータのドアが開きます。
ドキドキしながら、玄関に歩き出しました。
1階の廊下に人の気配があったので、横目でそっちを追うと、先日のチンドン屋の男性でした。
「良かった。またあの女だったらどうしようかと思ったぜ」
思わず口に出して言っていました。
ふう。
チンドン屋さんが、廊下の端に着き、角を曲がります。
その時、横を向いたので、帽子の前のかたちが見えました。
「何あれ!兵隊の格好じゃん」
その男性は昔の陸軍の制服を着ていたのです。
「うひゃあ。勘弁してくれよ」
私はその場を、全速力で走り去りました。
 
1キロくらい走り、ようやく足を止めました。
「あそこのマンション。幽霊だらけだ」
ハアハアと息が切れます。
 
ここで覚醒。
細部に違うところがありますが、この夢は、昔、実際に経験したことをなぞる夢でした。
後で人に聞いたのですが、そこは戦争の時、空襲があり、焼け野原になったところです。
火事で何人もの人が亡くなったとのことでした。
やはり、その後は何となくH美の店から足が遠ざかりました。
送って行くのが嫌だったからだろうと思います。