夜のニュースを見ながら寝入ってしまいました。
何度かトイレに起き、朝の5時頃にまた眠りましたが、その最後に見た短い夢です。
「大仏さまを見に行こう」ということになり、妻と息子との3人で出掛けました。
大仏さまは、ある山の中腹にあります。
木々の間をくぐるように坂を上って行くと、急に視野が開けました。
山の斜面を切り開いて作った原っぱです。広さは2百短擁?らい。
その中央に、大仏さまが座っていました。
「大きいなあ。鎌倉の大仏の3倍はありそうだ」
「どうやってここまで運んだのかな。まさかここで作ったとか」
「ここじゃあ、無理だろ」
妻と話しながら、大仏に近寄ります。
「何だか色が黒いわね」
「そうだな。青黒い感じ。こういう色の大仏は見たことが無い」
「顔もコワイ」
その仏さまは極めて険しい表情をしていました。
「仏さまって、優しい顔をしてるんじゃないの?」
「珍しいよな」
山を降り、麓からもう一度大仏を見上げます。
木々の間に、胸から上の部分が見えていました。
やはり青黒い大仏でした。
ここで、妻が驚きます。
「火が見える!」
大仏の背後に炎が燃え上がっています。
「なるほど。青黒い肌に、険しい表情。背後に火炎とくれば、あれは不動明王だったんだな」
「生きてるみたい。今にも動き出しそうだわ」
麓の道を里に下って行きます。
これは上ってきた道とは別の道でした。
遠くから、人の声が聞こえます。
大人数の声で、群衆が何やら喚きたてながら行進するような音です。
振り返ると、上りの際に通った道にデモ隊のような群れが見えます。
かなり遠くて、5百辰藁イ譴討い襪茲Δ任后
「あれ、何?」
「何だろうね。何か口々に喚きたてている」
目を凝らしてみると、その群衆は、ひとり1人が手に手に槍や刀、鎌など、武器らしきものを掲げています。
「何だあれ。百姓一揆か」
所々に、白い幟が立っています。
暫らくの間、眺めていると、その人々の様子が見え始めました。
その実態は、人とも妖怪ともつかぬ異形の者たちでした。
「うわ。ありゃ人間じゃないぞ。百鬼夜行か」
その群衆はおどろおどろしい亡者の群れでした。
「こりゃいかん。早くここを離れないと」
頭の中で、「ここは現世ではない。地獄の中に迷い込んだのだ」という声がします。
「おい、お前たち。走って逃げろ。トーサンは後から行く。お前たちは先に逃げろ」
息子は私の言葉を聞き入れ、小走りで前に進みます。
しかし、妻は私の横に留まっていました。
「お前も一緒に行け」
妻が首を振ります。
「ワタシ。お父さんがいないとダメなの。父さんと一緒にいる」
「バカやろ。あんな化け物たちに掴まりたいのか」
いくら叱咤しても、妻は動きません。
もう一度振り返ると、亡者の大群衆は大仏さまの山門まで来ていました。
私たちまではあと2百辰竜?イ任后
視線を上の方に向けると、不動明王の頭の上で、雲がぐるぐると渦巻いています。
お不動さまは、いよいよ青黒く、怒っています。
後ろの火炎は天まで届きそうな勢いでした。
「ああ、大丈夫なんだ。不動明王はあの亡者たちを救おうとしているのだ」
すっと気が楽になります。
お不動さまがあまりに猛り狂った表情なので、私はそれまで自分に何か落ち度があるので、責められているのかと思っていました。
「仏さまって、本当にいるんだな」
何とも言えない感慨を覚えます。
ここで覚醒。
目覚めた時に感じたことは、妻との縁です。
地獄の中まで一緒に行くってのは、並々ならぬ縁があるってことですね。
かつて、色んな占い師に見てもらったことがありますが、皆が妻のことを見て驚きました。
「スゴイ。3回生まれ替わっても、必ず幸福になるような強運の持ち主です。お金に困ることは無く、また何か困難があっても回りの人が助けてくれる」
手相などは「何十万人に1人」くらいの相らしい。
不動明王が見守っているのは、差し詰め、私ではなく妻の方だろうな、と思います。