日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第237夜 ガス漏れ

お不動さまにお参りした、その夜に見た夢です。

ある女性に会うために、路線バスに乗っている。
路線が微妙に異なっており、その女性の住むところに向かうには、途中でバスを降り、別路線の停留所まで歩くか、あるいは1時間近く遠回りして、電車に乗り換える必要がある。
私はいつもの通り、バスを途中で降りて、並行する路線の停留所まで歩く方法を採った。
「いつもの通り」と言うのは、この夢はこれまで幾度となく見てきたからだ。

長い道のりを経て、女性の住むマンションに着いた。
女性は不在だが、合い鍵を持っている。
その女性が帰って来るまで、女性の部屋の中で待つことになっているのだ。

部屋でごろごろしていると、少し腹が減ってきた。
「とりあえずお湯でも沸かそう」
やかんを探し、水を入れる。
ガス台に乗せ、火を点けようとするが、なかなか点かない。
やかんを外し、ガスの噴出口を調べる。

やはりガスの噴出口の金具が曲がっていた。
これではまともに出て来るわけがない。
そこで、台のカバーを取り除け、調整可能かどうか見ることにした。
ところが、カバーを外した途端、噴出口の金具がポロリと折れた。
口が曲がっているため、少しずつではあるが、折れた口からしゅうしゅうとガスが漏れて来る。
ガス栓を戻そうとするが、元通りにスイッチを立てても、変わらずガスが洩れている。

「こりゃいかん。ひとつ間違えば爆発事故が起きてしまうぞ」
元栓を探すが、他人の部屋でもあり、どこにあるかわからない。
このまま部屋中にガスが充満すると、この部屋はおろか、この建物全体が吹っ飛ぶかもしれない。

大慌てで、隣の部屋に走る。
(今は夜中で近所迷惑だが、ガス爆発で吹き飛ぶよりは、隣を起こして訊くべきだな。)
そう考えたのだ。
ドアから出てきたのは、隣の部屋の奥さんらしき女性だった。
「ガスの元栓はどこの位置にありますか?隣の部屋でガスが漏れているのです。是非ダンナさんにこちらの部屋に来て、教えて欲しいのです。お願いします」
奥さんが「え?」という表情をする。
その奥さんの後ろから、小さな子供が顔を出した。
「爆発するかもしれないから、奥さんとお子さんたちは、この建物から外に出てください。早く逃げて!」
ここでようやく奥さんがことの事態を把握する。
すぐに振り向いて、「あなた。ガス漏れだって!」と叫んだ。

私は大急ぎで、元の部屋に戻った。
タオルを濡らし、ガス台の噴出口を、そのタオルで押さえつけた。少しでもガスが漏れるのを遅らせるためだ。
「電機器具を止めておかないと、火花がパチッと行くとアウトだよな」
すかさず周囲の器具のコードをコンセントから抜く。
ガス台のところまで戻って来たが、そこで天井の灯りが目に入った。
「蛍光灯もだめだったよな」
もう一度走り、部屋の灯りを消す。

程なく隣の部屋の主人がやってくる。
驚いたことに、子どもを従えていた。しかも3人も。
「ガス漏れなんですよ。お子さんたちは早くこの建物の外に出して上げてください」
しかし、そのダンナの動きはゆっくりだ。
「そうそう滅多なことは起きないと思うよ。女房が管理人に連絡してるから、もう少しすれば管理人が来る」
おいおい。その頃には爆発してるって。

「暗いなあ。これじゃあ、元栓がどこにあるか見えやしない」
隣のダンナはそうつぶやくと、ポケットから何かを出した。
私はダンナの出した物を見て、自分の目を疑った。
そのダンナが出したのは、百円ライターだったのだ。
「ちょっと何やってんの!火を点けたら、爆発するって」
ダンナは面倒くさそうな表情をする。
「ガスって普段は冷たいもんじゃないか。ちょっとくらいは大丈夫だって」

いやはや。極めつけのバカだ。
カセットのガスボンベに触ると、確かに冷たいけれど、それは圧縮しているからだよ。
「お前。皆を吹き飛ばすつもりか。やめろ!」
私の言葉にも、隣の部屋のダンナは、ただ怪訝そうな顔をするばかり。
そのダンナの周りでは、3人の子どもたちが無邪気に遊んでいた。

ここで覚醒。

かつて、何度も、途中までの筋がまったく同じ夢を見ました。
今にして、この夢の意味がはっきりとわかりました。
これは警告夢で、私のことを教え諭す夢です。
夢の中の隣の家の主人は私で、妻と3人の子どもがいます。
それとまったく認識することなく、家族を崩壊させるような危険な行為を行っているのだぞと、自ら警告しているのです。
この夢を見ていた頃は「変な夢を見た」くらいに思っていましたが、今はようやく理解できるようになりました。
なるほど。かつての夢を解き明かしてくれているのでした。