日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第345夜 地球最後の男

深夜、仕事中に気分が悪くなり、居間の床に寝転んだのですが、そのまま朝に。
布団をかぶって寝ていたので、家族は「寝ている」と思った模様です。
心臓の発作と低血糖の両方が来たようですが、さすがにどろどろの悪夢を延々と観ていました。
これは、内容がまともで、まとまっているものです。

夢を観ている。
暗闇の夢だ。
オレは暗闇の中に居て、じっと座っている。
「こんなに真っ暗じゃあ、動くも何もない。どうしよう」
自分の手足さえ、まったく見えない。

突然、前方に明るい場所が開けた。
窓が開いたみたいに、ぱかっと四角い灯りが点いたのだ。
実際、それは窓で、こっちは暗いが、向こう側が明るい場所だった。
その窓は200辰らい先にあり、縦横30辰呂△蠅修Δ澄
すると、その窓の向こう側から女が顔を出した。
顔と言っても、その窓いっぱいの大きさだ。
すなわち、身長が百辰らいありそうな巨大な女だ。
女の視線はこっちの暗闇の中をまさぐり、オレを見つけた。
「ああ。いたいた」
ここで目が覚める。

「嫌な夢だったな。あの女は人間じゃない」
目が覚めると、オレはどこか山荘の中だった。
窓の外には、遠くの山々が見えている。
「オレは何でこんなところに独りでいるんだろ」
山荘は案外広いつくりだが、人の気配がない。

ベッドの上に体を起こし、頭を抱えた。
「何も思い出せない」
下を向いて、しばらくそのままでいる。

顔を上げると、広間の中央のテーブルに男が座っていた。
「お。びっくりした。どこから来たんだよ」
ラテン系の男だ。夢の中で何度も見たことがある。

その男が口を開いた。
「何か必要なものはあるか」
急に言われても思いつかない。
「目が覚めたばかりだから、何も考えてないよ」
男が顎をしゃくる。
「何でも言ってくれよ。準備するから。今、オレの仲間が食事の支度をしている。フランス風で美味しいぞ」
言われてみると、隣の部屋でカタカタと人が動いている音がする。

「なんでまた、オレに親切にしてくれるの?」
男に尋ねてみた。
男が答える。
「だって、お前は人類最後の男だもの。俺たちはお前しか遊び相手がいない。だから、お前が起きている間は散々面倒を見て、夢の世界は俺たちが遊ばせてもらうんだ」

え。オレに悪夢を見せているのはこいつらだったのか。
ここどこだよ。
慌てて窓に近づくと、窓の外の山々はただの写真だった。
バリバリとその写真を破く。

すると、その向こう側は崖で、下は漆黒の闇だった。
別の窓に行っても、やはり同じだ。
この山荘は尖った岩の先端に建っていて、四方が全部崖だった。

「他の人たちはどうなったの?」
オレの問いに男が答える。
「皆死んだよ。生きているのはお前だけだ」

そう言えば・・・。
オレは全部を思い出した。
オレは宇宙飛行士で、2年の間、宇宙に探索に出ていたのだ。
戻って来てみたら、地球は戦争で壊滅していた。
放射能の届かない場所はここだけなので、オレはここに来たのだ。

ここに来てから十日経った頃、突然、今目の前にいるような悪魔が現れ出したのだった。
こいつらは本当に悪魔なのか。
それとも、オレが孤独に耐えかねて、頭の中で創りだしたものなのか。

寝ると、ひたすら悪夢を観る。
起きている時は孤独で、眠れば悪夢だ。
このままこれに耐えて行くのは容易なことじゃないぞ。

ここで覚醒。