日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第458夜 山荘にて

◎夢の話 第458夜 山荘にて

 気が付くと、どこか高原の山荘らしき所にいる。
 季節は初夏で、まだ朝のうち。空気がすがすがしい。
 オレは洗面所の鏡の近くで、窓の外を眺めていた。
 視線を鏡に移すと、オレは二十五六歳くらいの風貌だった。

 Tシャツが汗まみれだ。昨夜は一晩中何かをやっていたらしい。
 「シャワーでも浴びようか」
 部屋に戻り、着替えを持ってシャワー室に向かう。
 裸になり、お湯を出す。
 シャワー室の窓は広く開け放たれていた。

 流れ落ちるお湯の中に頭を入れる。
 「気持ちいい」
 そう言えば、ここは蛇口から温泉が出るんだっけな。
 シャンプーを髪に付け、わしわしと指で擦る。

 すると、家の中から男の声がする。
 オレと同じくらいの男の声だ。
 「おい。気を付けろよ。浴室の外から女が覗いていることがあるぞ」
 マジか。
 若い男の裸を覗き見るなんて、女の変態が出没するのか。
 気持ち悪いぞ。
 頭を流し、窓を閉めるべく、そっちを見ると、シャワー室の外に女が立っていた。
 見たところ、四十歳台くらい。オレのお袋に近い。
 女は整った顔立ちで、赤いワンピースを身に着けていた。
 特別な意図があるようには見えず、ただ、景色を眺めるようにオレの事を見ている。
 ほとんど無表情に近い。
 気が付くと、その女の隣に、もう一人の女が立っていた。
 こっちは若く、二十歳前後だ。
 白いブラウスを着ている。
 ほっそりしているところが、隣の女に似ていなくもない。
 「こいつらは母子なのか」
 そういう感じでもない。
 二人の女は、ぴったり横に並んで、オレの事を見ていた。
 オレは前を隠さず、女たちに正面を向けて立っている。
 女たちの視線はオレの顔、と言うより、眼を見詰めている。
 「何だろ。何がしたいわけだよ」

 女が二人並んでいるので、つい二人を見比べてしまう。
 若い方は今どきのタレント風の整った顔立ちだ。
 「この子は美人だが、オレの好みはこっちだな」
 オレは中肉中背の素朴な感じのするタイプが好きだった。
 年嵩の方はまさにそんなタイプ。
 「けして、オバサン好みというわけじゃないぞ」
 フリチンのまま、女たちに見られながら、余計な事を考える。
 それほど不条理な状況だった。

 女たちは何をする訳でもなく、ただ窓の外に立って、ぼんやりとオレを眺め続けている。
 無表情で、心を感じさせない眼の光り方だ。
 ここでオレは、不意に気づく。
 「この女たち。もしかして生きた人間じゃないんじゃないか」
 何だか薄気味悪くなってくる。
 この時、年嵩の女の片方の眉が少し上がった。
 オレが今考えていることを悟ったのだ。

 ここで覚醒。