火曜の朝に、子どもたちを送り出した後、少し眠りました。
これはその時に観た短い夢です。
田圃の中の道をトラクターに乗って走っている。
あぜ道ではなく、6弾始の道幅だった。
「オレはどこに向かって走っているのだろ」
よく思い出せない。
大体、オレはトラクターの運転なんかしたことはないのに、運転できていること自体が不思議だ。
そのまま進んで行くと、道の向こうに黒いものが点々と落ちている。
近くに寄ってみると、案外大きな物体だ。
間近で見たら、なんと牛だった。
道を塞ぐように牛が寝そべっていた。
1頭、2頭と数えて行くと、30頭くらいはいそうだ。
「これじゃあ、先に進めないな」
ここで気がつく。
「なんだ。オレがトラクターで来たのは意味があったのか」
トラクターなら道をそれ、田圃や畑を乗り越えて行ける。
幸いこの辺は休耕田で、水こそ入っているが、作物は作っていない。
道を大きく迂回して、牛のいるゾーンを通り越した。
さらに先に進むと、一軒の農家に着いた。
「ああ。ここは叔父の家だ」
玄関の前でトラクターを停め、中に入る。
「ごめん下さい」
声を掛けても返事が無い。
もう一度声を上げたが、やはり家の中はしんとしていた。
「働きに出ているのか。仕方ない。座って待ってよう」
椅子に座って待つことにした。
勝手に入って座っていても良いのかと少し疑問に思ったが、ここは田舎なので他に方法が無いと思い直す。
20分ほどしたら、叔母と数人が帰って来た。
「あらケンジさん。来てくれたの」
まるでオレが来るのを予期していたかのような口ぶりだった。
「こっちにはいつ来たの?」
「今朝着いたばかりです」
「まさかこんなことになるとは思っていなかったけど・・・。中に入って会って上げてください」
叔母に導かれるまま、奥に入る。
奥の部屋にはベッドがあり、そこに叔父が寝ていた。
正確には「寝ていた」のではない。亡くなっていたのだ。
「昨日の昼頃に、急に倒れてそのまま・・・」
そうか。オレは叔父が亡くなったという連絡を受けてここに来たのか。
「顔を見てあげて下さい」
叔母の勧めに、ベッドに近づく。
するとそのベッドに寝ていたのは、叔父1人ではなく、もう1人の叔父も一緒に並んでいた。
オレの父には弟が2人いたのだが、その2人ともがそこで横になっていた。
死に顔には、亡くなる間際の一瞬の苦痛がまだ残っていた。
おそらく心不全で亡くなったんだな。
「叔父ちゃん。本当に死んだのか」
オレはそう言って、目の前の叔父の手を握ろうとした。
すると、あろうことか、その手が腕ごと体から離れた。
「うわ。びっくりした」
びっくりしたのは腕が離れたからではない。その左腕が義手だったからだ。
「3カ月前に、機械に巻き込まれて、腕を失くしていたんです」
叔父がそんな事故に遭っていたとは、オレはまったく知らなかった。
2人の叔父が突然、両方とも死ぬなんてな。
こういうことはあまり聞いたことが無いな。
しかし、ここで記憶が甦る。
「でも、叔父さんたちは2人とも十年は前に死んでいるよな」
一体どういうことだろ。
ここで覚醒。
終わり頃には、徐々に覚醒していたと見え、事実を思い出していました。
それからすぐに、自分が居間の家にいることを自覚したのですが、2階の娘の部屋から「ごとごと」と物を動かす音が聞こえました。
「ああ、次女は今日は休みなのだな」と考えます。
ここで起き出して、2階に行くと、家の中には誰もいませんでした。