日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第387夜 木天蓼の男

土曜の夜に、テレビを観ながら眠り込んでいました。
その時に観た夢です。

俺は50歳。長患いの末に職場に復帰したら、復職4か月目にリストラになった。健康であればもっと早くリストラだったが、会社の方は俺が病気だったために、その回復を待ったのだった。
それから3カ月後、宝くじ売り場の前を通ったら、売り子の娘が若くして死んだ自分の娘に似ているので、そこでくじを買った。

それが当たって1千万円になった。
それを受け取った日に、帰宅して妻にそのことを報告しようとすると、妻が荷造りをしていた。
「何故」と問うと、妻は「離婚したい」と答える。
妻は離婚届を置き、「荷物は運送屋が取りに来る」と言い残して家を出る。
家の外では、俺が前に掛かっていた医師の車が待っていた。

俺は今の医師から「余命4か月」と言われていたが、妻には結局そのことを言わずに置く。
もはや俺には金は意味が無いが、妻にやるのは腹が立つので、宝くじの金は全部使ってしまうことにする。
俺は競馬場に行き、死んだ娘の誕生日が4月10日だったので、4─10を5百万買った。
レースの結果はどうでも良いので、そのまま家に帰る。

帰路、公園に寄ってぼんやりする。
すると、野良猫が次第に集まってくる。
俺は複数の持病があり、1日に20個は薬を飲んでいる。これで体質がおかしくなったのか、やたら猫が寄って来るようになっている。
体からマタタビに似た匂いを出しているらしい。

1匹2匹と集まって来るが、あっと言う間に十数匹が俺の周りに寄って来た。
猫たちは、ただ、ごろごろと寝そべっているだけだ。
この様子を見て、子どもたちが集まってくる。
「小父さん。どうしてこんなに猫が来るの?」
「別に何もしてないよ」
俺は人生に絶望してるだけだよ。

夕方になり、子どもたちが帰って行く。
その次に現れたのは、ブサイクな女だ。
年恰好は四十過ぎくらいか。地味な服装にごちゃごちゃな髪型をしている。
「小父さんの猫なの?」
「そんなわけがないよ。第一俺は動物の毛のアレルギーなんだし」
いつもなら追い払うが、もう面倒くさくなったし、どうせ程なく死ぬ。

女が猫を撫でている姿を見ていたが、どうも年増女ではないような気がする。
外見はそれらしく見せているが、本当は若いんじゃないか。
「ねえ。貴女はなんでそんな恰好をしているんだ。本当は若いんだろ」
三十台、二十台、もしかすると二十歳くらいかも。
ただオバサン顔に見えるような化粧をしているだけだよな。

猫たちはいよいよ俺の膝や肩に乗っかって来る。
俺は毛皮を着た山男みたいな格好だ。
その姿が可笑しかったのか、女が俺に言う。
「小父さんが他人に秘密にしてることを1つ教えてくれるなら、私も本当のことを1つ言う」
ふうん。酒を飲む時のゲームだよな。

秘密ならたくさんあるぞ。
「俺は余命4カ月だ。だがこれは秘密じゃないな。もうすぐ離婚する。これも違うか」
よく考えたら、他人に隠すべきことなど、今はほとんど無くなっていた。
「妻と離婚するのは、妻が俺の前の主治医と出来ていたからだ」
これなら、大っぴらには言い難い。

「小父さん。酷い目に遭ってるねえ」
このブチャイクな女があきれたような口ぶりで言う。
「じゃあ、次は私の番だね。私は本当は17歳なの」

ここで中断。

あらあら。こりゃ良い展開だ。
すぐに1本書けますね。
女はある理由があって、自分が四十過ぎに見えるように化けていたのでした。

猫に絡めた話がようやく書けそうです。