日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 リオンが生まれるまであと2年

せっかくの連休で、息子と一緒に出掛けたかったところですが、あいにく体調が今ひとつ。
5日は朝から夜中までずっと伏していました。

ただ横になっているのは退屈します。
そこでDVDを点けっ放しにして音を聞きます。
観ると疲れるので、頭の後ろで音だけを聞くのです。

回したのは「ブレードランナー」。
30年前の映画ですが、今なお色褪せませんね。
3バージョンはありますので、順繰りに掛けて、夜までに2回ずつ回しました。
要するに、映画6本分です。

息子があきれて、「父さん。同じものを何度も観て、飽きないの?」と訊いて来ました。
答は「オレは講義を聞いているんだよ」です。

原作は、フィリップ・K・ディックで「ドラマの父」です。
ちなみに、「ドラマの祖」はシェークスピア
いずれも、ごく当たり前のことをテーマにしていますが、しかし、人は皆ひきつけられてしまいます。

ブレードランナー」のテーマも、「人は皆、どこから来て、どこに向かうのか」という疑問からなっています。
作中のレプリカントタイレル社によって作られたのは、2017年で今から2年後。
リオンについては、自ら製造年を言葉にしています。
ロイもおそらく同じ頃。
ブリスは少し早いので、彼らより半年くらい前だろうと思います。
寿命が4年間で、程なく死ぬという設定なので、舞台は2021年くらい。

レプリカントが作られる目的は、映画の中では、戦闘用(ロイ)、労働力用(リオン)、娯楽用(ブリス)になってます。
完成型で出来て来るので、大人の姿。記憶は初めからセットされています。

そうなると、眼が開いた時に、そこにある現実が総て。
これは夢の世界と同じです。
夢の中では、眼が開くと、状況があり、その中での自分の役割があります。
最初のうちは、自分の役割が分からなかったりもしますが、すぐにその場に適応して行動するようになります。
そうなると、レプリカントたちも、自らが夢の中にいるような感覚で生きているのでしょう。
夢の中で暮らす4年間は、短いとも長いとも言えます。

80年生きても、客観的な時間の長さはあまり意味を持ちません。
誰しも死ぬのは嫌なので、死に間際は「あっという間だった」と思うことでしょう。

てなことを考えさせてくれます。

3バージョンで、ディレクターズ・カット版だけが、あっさりと非情な感じで終わります。
若い頃には、空撮とナレーションを入れたハッピーエンドの方が良いと思っていましたが、年齢が上がったら、こっちの方が良くなって来ました。

目を開くと、オレはレプリカントで・・・。
早く、その夢を観てくれないかと思いますね。
しかし、セリフを逐一憶えていますので、すっかり映画をなぞってしまうかもしれません。

フィリップ・K・ディックの作品では、短編の「偽物」が好きですね。
高校生の時に呼んで衝撃を受けました。
もちろん、影響を受けています。
書き手としては、自分は三流以下ですが、いずれはこの人に近づけるような作品をものにしたいです。