日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

秩父には野犬がいる

写真を撮影しなかったので、話だけです。

秩父地方には、学生時代から縁があり、月に3、4回は訪れるようになっています。
現在は概ね日帰り温泉を訪れる目的によります。

数年前、正丸トンネルに差し掛かった時に、昔のことを思い出しました。
トンネルが出来る前は、峠越えをする必要がありましたので時間が掛かりました。
細い山道なので、車がすれ違うのも大変です。
このため渋滞も多く、飯能から数時間掛かってしまうこともあったのです。

「今はトンネルがあるから、すぐ着くよな」

そう思った瞬間、昔のように峠を越えてみたくなりました。
確か頂上付近にはお店があり、蕎麦なども食べられた筈です。
そこで急遽、道を曲がり、峠越えを試みたのです。

峠道は、記憶にあるそれより、さらに一段狭く感じました。
先が見えないカーブが続くので、気を抜くことが出来ません。
ミラーではっきりしない時には、軽くクラクションを鳴らします。

この道はトンネルが出来てからは、すっかり寂れてしまい、ほとんど車は通らなくなっている模様です。
途中にあった休憩所みたいな場所は、閉店してかなりの年月が経っているような佇まいだし、遊歩道はもはや崩れていました。
半ばくらいに到達した時に、道の端に動物が立っていました。
野犬です。

まるで狼みたい。
シベリア辺りの狼と犬とを交配させたものかも。
ただし、色は茶色系なので、ハスキー犬とは違います。
ここで、郷里の父が話していたことを思い出します。

「ハンターは身勝手なもので、カモや雉を撃つために犬を連れて来るが、狩猟のシーズンが終わると、山の中にその犬を捨てて行ってしまう。夏場は訓練所に預けなくてはならず、金がかかるからな」
私の田舎は寒い地方ですので、山の中に捨てられた犬は寒さのために程なく死んでしまいます。

「そう言えば、秩父にもハンターが来るんだよな」
ここでは冬場でも犬が凍死することがないので、ハンターが捨てた犬が生き残っているのかも知れません。

でも、一体何を食べてるの?
兎とか、猿?
ちなみに、冬場になると、餌を盗むために猿が里の畑まで降りて来るようです。
こちらは頻繁に見掛けます。

峠で見た犬は、人に飼われていた気配がなく、獰猛な目つきをしていました。
「こりゃ、この辺で山歩きをする時には、十分気を付けないとね」
襲われたら大変です。

その時は、「気を付けよう」と思っただけで、特別なこととは考えませんでした。
町内会の寄合でも、「秩父でもハンターが捨てた狩猟犬が野犬化しているので、注意が必要だ」という話をしました。

ところが、つい先ほど偶然目にしましたが、秩父には「秩父野犬」の発見例があり、ニホンオオカミではないかと疑われているのですね。
私が目撃した犬も、狼犬の仲間でした。
多少びっくりしただけで、写真を撮らなかったのは失敗でした。
次からは、いつでも撮影出来る体制で出掛けようと思います。

蛇足ですが、今回は、秩父地域を訪れる時にどうも気色悪く感じる場所が数か所あり、そこには何かいわくがあるのかと検索していたら、「秩父野犬」に行き当たった次第です。