日刊早坂ノボル新聞

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夢の話 第390夜 狂犬病ウイルス

◎夢の話 第390夜 狂犬病ウイルス
火曜の朝5時頃に観た夢です。

アフリカから新しいウイルス病がやってきた。
狂犬病の亜種で伝染性がすこぶる高い。
症状は発熱するのと、獰猛な状態になるのが主で、基本は狂犬病だ。
これがライオンにうつり、5千頭を殺したが、わずかに生き残った者がいた。
この生き残りのライオンの中でウイルスが変異して、強烈な亜種に変わったのだった。

この国に持ち込んだのはK国の奴だ。
K国人は自己中で独善的な生き物だ。他人の迷惑など一切考えない。
こいつは自分が彼の国で感染したのを知ると、すぐに逃げ帰ろうとした。
その途中の寄港地である成田で発症し、百人以上もの人にうつした。
こうなると、あっという間に拡がってしまう。
1週間後には3千人、2週間後には2万人が発症した。

従来の狂犬病と違うのは、致死率が80%だが、死ぬまでに3週から4週かかることだ。その間は周囲の人間に噛み付いて、ウイルスを撒き散らす。
感染者から噛み付かれると、傷口からウイルスが入り、噛まれた人も感染してしまう。飛沫感染もして、眼とか口といった粘膜からでもうつってしまう。
一度感染すると、何か匂いのような物を出すらしく、感染者は感染者を襲わなくなる。襲うのは専ら健常な者だけだ。

一定の規模以上の感染者が出ると、これが街に溢れるようになる。
数千人の感染者がひとつ所に集まり、たむろする。
そして、健常な者が近づくと、皆でそれを襲うようになった。
もはや外見だけでなく、やることなすことが、すっかりゾンビと同じになった。
もはや防疫体制など組み立てられようもない状況で、感染者が死に絶えるのを待つしかない。
国も既に手を上げており、メディアやネットを通じて「家から外に出るな」と繰り返して放送するだけだ。
概ね1カ月の間、持ちこたえられれば、感染者は急減する。

オレは36歳。元は医師だ。
また医師に戻れるのは、早くとも数か月は先だ。
今はこんな状態だし、医療など成り立たない。
不幸中の幸いで、感染者は獰猛だがライオン並みの知能になっている。
家の中にいれば、中には押し入って来ない。

だが、数週間も家にいれば食料が枯渇する。
どこかで調達に出る必要があるが、その方法はある。
この病気は元が狂犬病なので、感染者は水を恐れる。
雨が降っていれば、感染者たちは水の当たらない場所に引きこもって、そこでじっとしているのだ。

今日は待望の雨降りだ。
オレは仲間の女性と一緒に、食糧の調達に出掛けることにした。
女性は看護師で、俺の勤める病院の同僚だった。
「大丈夫かしら。昼には雨が止むというけれど」
今はメディアの放送は、天気予報がメインだ。
その日が雨か晴れかは、生死に関わる。
「雨が降ってる間に、車に積んでしまえばOKだろ」
これから行くショッピングセンターまでは、往復2時間かかる。
「それに、車に乗っていればあいつらは気づかない」
知能がライオンと同じなので、車と、その中にいる人間の識別が出来ない。
車全体をひとつと認識するわけだ。
アフリカのサファリではライオン見学ツアーがあったが、幌の無いジープでも平気だった。ライオンはジープ全体をひとつと認識し、しかも食料にはならないと見なすので襲っては来ないのだ。

ショッピングセンターに着き、入り口のすぐ前に車を寄せた。
「この中にだって、感染者がいるわよね」
「そりゃそうだよ。雨宿りには絶好の場所だもの」
襲われそうになった時の準備もしてある。
感染者対策の最大の武器は、ジョウロだった。
園芸で使うあれだ。
ジョウロに水を入れ、感染者が近寄ったら、ざあっと水を出して見せる。
感染者は水を怖がるので、ジョウロを持つ人間には近づかない。
もちろん、感染者が少人数だった時の話だ。
何百人に囲まれたら、さすがにそれでは通用しない。
「こういう状況では、ショッピングセンターに入るのは怖いよな」
ロメロの「ドーン・オブ・ザ・デッド」の舞台そのものだし。

しかし、案外簡単に食料を持ち出すことが出来た。
感染者たちは雨を恐れるあまり、倉庫の奥か、地下に隠れてしまったのだ。
オレ達は安心して、目一杯の食料を車に積んだ。
2人だけなんだし、缶詰やシリアルが15箱もあれば、1カ月はもつ。

駐車場を出る時には、雨が止んでいた。
「帰り道で襲われないかしら。怖いわ」
「大丈夫さ。もしあいつらに遭遇しても、車から出なければ襲われない」
だが、彼女の不安は的中していた。
中ほどまで戻ったところで、道を感染者たちが塞いでいた。
「凄い数だ。何千人だろ」
さすがに薄気味悪いので、別の道を行こうとする。
だがそっちにも感染者が出ていた。
「仕方ない。真ん中を通って行こう」
ガソリンの残りを確かめる。
「まだ数百キロは走れるから、ゆっくり進もう」

オレは感染者の群れの中に車を侵入させた。
案の定、感染者たちはぼおっと立っているだけで、こっちを見もしない。
運転席の人間を識別出来ないのだ。
「はは。やっぱり大丈夫だった」
すると、この時、カーラジオから緊急放送が流れて来た。
「極力、家から出ないでください。また玄関や出入り口にバリケードを築いて下さい。窓のカーテンを閉め、なるべくなら板を打ちつけてください。虎型の変異ウイルスが急速に増えています」
「え?虎型だって」
看護師が不思議そうな顔でオレを見る。
「何か不味いことがあるんですか?」

オレは思わず、ため息を吐いた。
「ライオンは車の中の人間を識別できない。でも、虎には中にいるのが餌だって分かるんだよ。だからサファリパークでも、虎だけは檻の中なんだ」
女性から目を離し、オレは前の方を向いた。
すると、車の前にいた感染者たちの中に、オレのことをじっと見つめる視線があった。
すかさず、オレたちの車に向かって足音が走り寄った。

ここで覚醒。