日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

「不来方情夜」始まる。

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 5月5日より、盛岡タイムス紙で『不来方情夜』が始まっています(月木掲載)。
 この作品は、夫・昇龍と妻・アンナの共作になります(記名代表は早坂アンナ)。

[物語のあらすじ]
 奥州岩手郡(いわてのこおり)日戸(ひのと)郷の侍・日戸佐助は郷里への帰路の途中で、女盗賊の紅蜘蛛の一行を目にする。紅蜘蛛は総勢四騎でどこかに向かうところだった。盗賊を捕縛すべく佐助が密かに後を尾(つ)けると、紅蜘蛛らは新庄にある薄山(後の岩山)の中腹に上った。
 そこには巨大な卵形の物体が落ちており、盗賊たちはそれを見に来たのだった。
 佐助はこの近くの不来方(こずかた)城に支援を乞い、盗賊たちを取り囲んだ。
 しかし、その大卵は空を飛ぶ船(宇宙船)だった。佐助が紅蜘蛛を捕縛しようとしたちょうどその時、大卵の主がその場に戻って来た。
 卵の主は若い女だったが、佐助や盗賊たちの目前で姿を変え、巨大な鬼に変じた。
 この鬼が怖ろしく強い。あっという間に侍三十人が殺された。
 弓や刀では到底この鬼に歯が立たぬ。
そこで、佐助はひとまず紅蜘蛛と手を組み、不来方城で鬼を迎え討つことにした。
 この不来方は、かつて鬼が現れたという伝説を持つ因縁の地だ。
 城内に鉄砲隊を控えさせ、佐助と紅蜘蛛が待ち構えていると、女の姿をした鬼が門扉を叩いた。
 鬼は紅蜘蛛の侍女を殺し、その姿に化けて襲いに来たのだ。
 紅蜘蛛はかつて兄たちと共に、この鬼と戦ったことがある。
 鬼はその時に身内を殺された恨みを忘れてはおらず、紅蜘蛛を追って来たのだ。
 鬼はまんまと城の中に入り込み、それから直ちに、人と鬼との血で血を洗う戦いが始まった。
 紅蜘蛛は兄である赤平虎一が鬼を倒した時のことを憶えていた。
 その記憶を頼りに、紅蜘蛛は鬼の弱点を見つける。
 鬼との死闘の中、いつしか佐助と紅蜘蛛は互いに敵味方であったことを忘れ、一致協力して鬼に立ち向かうのだった。

[不来方城の歴史]
 不来方城は盛岡城の前身にあたる。築城は平安時代に遡ると言われているが、詳細は詳らかではない。
 戦国時代には、この城は福士一族の居城であったが、九戸一揆の後、南部信直により接収された。
 信直は、三戸から福岡(二戸)に移っていたが、新領は七郡に渡るため、福岡はかなり北に位置する。そのことを浅野長吉らより指摘され、信直は福岡から「森岡」へ居城を移すことにした。
 信直は慶長三(一五九八)年に嫡男利直(初代盛岡藩主)に命じて築城を開始させたが、建設は難航し、重直(二代藩主)の時代になりようやく完成した(寛永十・一六三三年)。
 新城が「盛岡城」と呼ばれるようになったのは、南部氏がこの地に拠点を移し、森岡を盛岡と改称してからのことである。

[備考]
 本作は早坂昇龍作『峡谷の怪物』の後日談です。(ジャンル的には伝奇小説に入り、『盗賊の赤虎』シリーズの1作となります。)
 「早坂アンナ」は、昇龍夫妻の共同ペンネームで、原案とデザインを妻・アンナが、また文章の構成を夫・昇龍が分担するものです。執筆代表者名は「早坂アンナ」となります。
 今回、未公表の作品『不来方城戦記』を書き改め、『不来方情夜』と改題しました。

 『九戸戦始末記』をお読みになられた方はご承知と思いますが、作中の「紅蜘蛛」は毘沙門党の紅蜘蛛お連です。
 『盗賊の赤虎』シリーズは、『九戸戦始末記』のスピンオフ作品なのですが、赤虎三部作が終わり(他に未公表1作あり)、現在は紅蜘蛛シリーズに移っています。
 こちらは楽しんで書いている部分があり、いつ頃刊行されるようになるか分かりません。
 しかし、今のところ、昇龍代表作は『無情の雨』となっています。そうなると、いずれ必ず書籍にまとめることになります。