◎『無情の雨 ─盗賊の赤虎が地獄を訪れる話─ 』 早坂昇龍
標記の中編小説を、『九戸戦始末記 北斗英雄伝』公式HPにアップした。
◆筆者による紹介文◆
『九戸戦始末記 北斗英雄伝』では、毘沙門党の棟梁である赤虎(赤平虎一)が、厨川五右衛門を襲撃した。厨川五右衛門は、作中冒頭で殺された赤虎の弟の熊三の仇敵(かたき)になる。
五右衛門は鉄の棒を自在に振り回す赤虎に苦戦するが、やっとのことでこの難敵を倒した。
この作品の中では、毘沙門党は悪役で、厨川五右衛門を中核とする五右衛門党を散々に悩ます。
ところが、北奥の各地の貧しい民たちにとっては、毘沙門党は食い物を分け与えてくれる後援者であり義賊だった。
とここまで書き進めているうちに、「では、一体、この赤虎という男はどんな人物だったのだろう」という疑問が湧いて来た。
そんな疑問を出発点とし、スピンオフ作品である「盗賊の赤虎」シリーズが生まれた。
この『無情の雨』の設定は『峡谷の怪物』のまもなく後で、赤虎が四十台の初め~中頃の時の出来事になる。
赤虎シリーズの中核にして、筆者が最も気に入っている作品である。
◆あらすじ◆
陸奥(むつ)道を北上する赤虎は、たまたま逗留した宿で亡者たちに遭遇する。
赤虎はその地を逃れるが、しかし、周囲一帯には亡者が溢れていた。
ある村で巫女の柊女と会うが、柊女は「今は地獄の釜の蓋が開いているから、それを閉じに行こう」と誘う。赤虎は一度は断るが、寺泊で死んだ「女子(七海)と会えるかもしれぬ」と聞き、心を変えた。
目的の地は北の果てにある「怖谷」である。
赤虎は柊女や山伏、侍女たちと遠征隊を編成し、北に旅立つ。
『無情の雨 ─盗賊の赤虎が地獄を訪れる話─ 』 早坂昇龍
http://www.goemonto.rexw.jp/mujou04.html
なお『九戸戦始末記』において、赤虎が登場した時、「何故、鉄の棒を持っていたのか」という理由が本作に描かれている。
現在、続編を執筆中であり、近々に公表できると思う。