岩手県
◎『鬼灯の城』第5-6章の公開について ウェブページに『鬼灯の城』の5-6章を開示しました。概ね2017年の秋から冬にかけて盛岡タイムス紙に連載されたものです。 手控え原稿で校正前のものですので、幾らか不首尾があるかもしれません。 釜沢館主の小笠原…
◎地名に歴史がある 「岩手県門前寺」編 昨夜、母方の祖父の夢を観た。長い夢で、自分の目を通して見た祖父の半生を追う夢だった。 その祖父が居を構えていたのは、岩手県の中央にある門前寺というところだ。 昔は「鵙逸」と呼ばれた地で、これは江戸期奥州道…
◎『鬼灯の城』第3ー4章の開示の告知と前段のあらすじについて 本日、HP「北奥三国物語」にて、『鬼灯の城』第3-4章を開示しました。 以後、週に2章くらいのペースで進め、過去作が終わったところで、順次、続きを掲載します。 自分には「来年も来月も…
◎病棟日誌 R060910 バンカラ女子 治療の終りにエレベーターの前に立っていると栄養士のババさんがやって来た。 ババさんは花巻出身で盛岡の女子高に通っていた。 「ねえねえ。こないだ盛岡に行ったら」 この時、当方はトイレに行きたくてプルプルしていた。…
盛岡銅山銭、天保盛岡小字に打たれた六出星の大極印 ◎古貨幣迷宮事件簿 「通貨・絵銭の話」(続) ◆天保通寶 盛岡(南部)小字の黒色の母銭 勧業場製の記述をしていて「小字母銭」について思い出した。 あれはもう25年以上前のことになる。 岩手の収集家某…
◎令和六年年頭にあたり 皆さま明けましておめでとうございます。 大晦日から元旦にかけて、私は原稿(『花のごと』)を書いていました。 年明けから数時間が経過して、少し仮眠を取ったのですが、その時に夢を観ました。 通常、「初夢」は元日の夜に観る夢の…
◎年末の「真鱈」の思い出 十二月の二十九日くらいが鮮魚市場の最終日で、それ以降、年始の三日か四日に再開されるまで、市場が閉まる。 毎日、漁港から沢山の魚が届いていたわけだが、売れ残った鮮魚は総て廃棄処分になってしまう。 私が小学三年か四年の頃…
◎病棟日誌 悲喜交々11/30 「そろそろ俺たちの番」 木曜は通院日。病棟に入ろうとすると、同じ年に入棟したKさんが車椅子で診察に向かうところだった。治療前に別の診療科で診て貰うわけだ。 Kさんは七年前くらいに入棟したが、その数か月後に私も入った。同…
◎上の叔父にまつわる「昭和の話」 父は三人兄弟の長男で、弟(私にとって叔父)が二人いた。「上の叔父」のことは、親族は皆「山の叔父ちゃん」と呼んでいた。 馬喰で、かつ姫神山の麓で開拓農業を営んでいたので、そう呼ばれていた。 この叔父は相当な曲者…
◎「ほどヶ淵の河童」の話 人は「生れ落ちてから死ぬまでの記憶を詳細に仕舞い込む」そうだ。 忘れるのは「整理箪笥の中に仕舞う」だけで、無くなりはしないらしい。 最近、四十年以上前のことを不意に思い出すが、意識しなかったことを詳細まで憶えていた。 …
◎座敷童のいる屋敷の話M家のケース 岩手県のK町には「旦那さま」の血筋がふた系統あり、そのうちの片方がM家だ。 「旦那さま」とは、いわゆる豪農のことで、町を二分するほどの地主だった。 農地改革の時に土地は分断されたが、そもそも豪農が形成されたのは…
昇龍流 「海鮮なめろう冷麺」試作品 ◎海鮮なめろう冷麺 (戸田久冷麺アレンジレシピ) 実家が盛岡市内にあり、お中元やお歳暮には頻繁に盛岡冷麺が送られて来る。 昨夏と年末には、それが複数件重なり、段ボールの冷麺が積み重なった。 当家で冷やし麺を好む…
◎病棟日誌 悲喜交々 6/21 「蕨と蝮」の話 この日は通院日。加えて眼科の診察もあるから、朝イチで病院に入り、出るのは夕方になる。眼科はやはり長い。 診察室の前で待っていると、傍にオヤジたちがいて何やら話をしていた。 「さっきいた人はなでしこジ…
◎(土川蕎麦レシピ)「ぶっかけ冷やし茸蕎麦」 郷土岩手の名物「土川蕎麦」の食べ方を勝手にアレンジ。 地元民としては、土川蕎麦は冷やしかぬるい蕎麦、一方井蕎麦は熱い蕎麦が合うと思う。 さて、晩春から夏場は冷たい蕎麦が食べたい。 茸(椎茸・シメジ)…
◎歴史は今も生きている 岩手町の土川蕎麦を注文したが、その担当者が姉帯さんという人だった。 おお、姉帯氏と言えば・・・。 一戸の地侍で、戦国末期に上方軍に攻められ、滅んだ一族だ。 もちろん、家系は敵味方双方に別れて戦うから、生き残る者も存在する。 …
◎病棟日誌「悲喜交々」11/29 艦長の秘密 火曜は通院日。この日の視聴ドラマは『スタートレック:ピカード』の第2シーズン。 私は「トレッキー」ではないのに、ピカード艦長のシリーズをよく観る。旧シリーズ(「新スタートレック」?)の時もそうだった。 …
盛岡冷麺(戸田久) ◎レシピ通りの盛岡冷麺 高二の時に隣の席のタナカコーヘイ君(西根町出身)が「インスタントラーメンを茹でる時には絶対に動かしたらダメだ」と力説した。 それを聞いた時に、当方は上の叔父のことを思い出した。 小学生の時、家に独りで…
「竈神」 仙台藩から盛岡藩にかけて分布する火防の神さま ◎危うく竈神(カマドガミ)さまを野晒しに 数日前に冷蔵庫やエアコンを買い替えたのだが、家の中に機械を運び入れるために、一旦、中のものを外に出した。 当日、工事の人が帰ると、台風の影響で雨が…
◎「南部せんべい」の新しいアイデア トシを取ったら、舌が保守化し、生まれ育った田舎のものを好むようになった。 小学生の頃は、お茶箱に入った南部せんべい(ゴマ)がおやつだったのだが、当時は嫌だった。 実家は小売商店だったが、家の者のおやつは大体…
◎タラの芽とウルシ 子どもの頃、遠足で姫神山に登った。 私的にはそこは裏庭同然なので、全然面白くない。まったくやる気がなく、最初からダラダラだった。 登山口から数十メートルほど登ったところに、「一本杉」という杉の大木が立っている。 その裏手には…
閉伊三山の寛永鉄銭 ◎古貨幣迷宮事件簿 「南部鉄銭の難物のひとつ:閉伊三山の寛永鉄銭」 過去の古銭書を見ると、南部盛岡藩の代表的貨幣としては、「背盛」「仰宝」の二種が挙げられ、その他の銭種が幾らとその変種が掲載されているに過ぎない。 基本的に「…
◎『怪談』第7話 座敷童の話 五歳くらいの時に、母の実家に泊まりに行った。正確には「数日ほど預けられた」と言った方がいいかもしれん。 夜は祖母の隣で寝たのだが、最初の日の夜中の十二時を回ってもまるで眠れず、目を瞑ってあれこれと考えごとをしていた…
大太刀と最後は南部刀 ◎言葉の由来 「伊達男」 冒頭の画像は、いわゆる「大太刀」で、いずれも二㍍超級のものだ。 サイズを比較するために置いている「大刀」との比較で、長さが違うように見えるのだが、実際には、どれも大きな違いは無い。 大太刀は概ねこ…
◎『怖谷奇譚』 早坂昇龍 本日、HPにアップしました。 ◆著者による紹介文◆ 本作は平成25年10月7日より12月30日まで盛岡タイムス紙に掲載された短編小説である。 赤虎シリーズは『九戸戦始末記─』のスピンオフ作品なのであるが、これはさらにそこから…
「盗賊の赤虎 」シリーズは『九戸戦始末記 北斗英雄伝』よりスピンオフした作品群である。画像は二戸宮野(九戸)城。。 ◎『無情の雨 ─盗賊の赤虎が地獄を訪れる話─ 』 早坂昇龍 標記の中編小説を、『九戸戦始末記 北斗英雄伝』公式HPにアップした。 ◆筆者に…
南部かしわ蕎麦 ◎南部かしわ蕎麦 その2 母方の祖母が蕎麦の名手だった。祖母が蕎麦、海苔とネギだけの暖かい蕎麦、すなわち「掛け蕎麦」を作ると、小学生の私でも三回お代わりをした。 母の生家は大きな農家で、終戦の時に土地を何分の一かに減らされた方だ…
及川屋清兵衛の懐中物 ◎花巻馬喰 及川屋清兵衛のこと 冒頭の画像は通称で「沖口役所」と呼ばれる通行手形だ。 松前で内地と蝦夷地を人が出入りする時に発行されたものになる。 幕末の盛岡藩花巻の馬喰だった及川屋清兵衛は、ほぼ奥州全域で商いを展開してい…
盛岡タイムス12月5日付 『鬼灯の城』小粋と釜沢の風景 ◎『鬼灯の城』 リスタート 盛岡タイムス紙上で、12月5日から『鬼灯の城』の連載が再開された。 昨年の12月に体調を崩してから、ここまで戻るのにほぼ一年を要したことになる。 生き物はいざ最期…
◎「花は咲く」 楢山佐渡は幕末の盛岡藩家老だが、弱冠二十三歳でこの職に就いている。 元々、要職の家柄だったし、叔母が藩主利済の室だから、次の利義、その次の利剛とは従兄弟だった。部屋住の立場で加判役となったが、この時に三閉伊一揆が起きた。 この…