日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第502夜 駅で

◎夢の話 第502夜 駅で
20日の午前2時ごろに観た夢です。

 我に返ると、道路の上に立っている。
「ここはどこで、オレは誰だよ」
 自分の名は分からないが、とりあえず、駅に向かって歩いていた。
 店のガラスに自分を映すと、スーツを着た、30台の男だった。
 ぼんやりと思い出す。

「ああ。親たちを迎えに行くんだったな」
 孫の顔を見に、郷里から父母が上京するのだが、それを迎えに行こうとしているのだ。
 「これから行くと、まだだいぶ早いけれど、飯でも食って待っていればいいか」
 改札の方に歩いて行く。
 すると、改札の直前で男に会った。
 背が高くて、きりっとした男だ。年の頃は五十と少し。
 オレのスポンサーの1人で、時々、オレはその男から融資を受けていた。
 銀行はしがない中小企業主のことなど目もくれないし、審査が終わるまで時間が掛かるから、1日2日でさっと金を融通してくれる相手は有難い。
 「ああ、Sさん。こんにちは」
「おおKちゃん。どこ行くの?」
「ちょっと用事があるんです」
「急いでいるの?」
「いえ。そういうわけでも」
 実際、直行すると1時間ほど早く着く。
「じゃあ、ちょっと付き合ってよ。ほんの少しでいいから、話を聞いて」
「でも、今日は」
「十五分でいいから」
そこまで言われると、無下に断るのもどうか。
「そうですか。じゃあ、少しだけ」
打ち合わせでよく使っていた小料理屋に入る。

男の話は愛人のことだった。
50幾つのこの男にはタレントの愛人がいるが、「突然、別れを切り出された」、と言う。
「男を作ってやがってさ」
女優志望の若い娘と付き合っていたが、その娘に「好きな男が出来たから別れたい」と言われたそうな。
女性タレントにしてみれば、バイトをするよりも、タニマチ的なオヤジと交際する方が、時間を節約できる。それで、この男とそういう関係になったのだが、年の近い彼氏が出来れば話が変わって来る。
「がんとして、『別れる』と言い張ってさ」

オレの仕事は偉い人のサポートだ。学会長とか学長、社長など、「長」とつく人の手助けをする。「長」以外にたまに「議員」てのも入ったりする。
表向きは組織運営のコンサルの筈だが、そこはそれ、個人的な相談にも乗らねば仕事がうまく回らない。顧客に身の下相談をされるようになって、初めて一人前のコンサルタントだ。
「そういう時、女性は絶対に頭を下げないですね。そうでしょう?」
「そうなんだよ。『ごめんなさい。好きな人が出来ました』と言ってくれれば、餞別を包んで送り出すのに」
女の方は、あくまで生活のために男と付き合っていたのだが、男の方はいつしか情を移していたのだ。
ま、そこはまだ売れてないとはいえタレントだし、かなりの美形でスタイルも抜群だった。道に立っていれば、男たちが必ず振り返る。そんなタイプの女だ。
男がどんなに金持ちで、颯爽とした企業人でも、女にとって結婚の対象ではない。
同じ方向を向いて歩いて行ける彼氏が現れれば、必ず終わりは来る。
そこで腹を括られたら、もはや女の決心は変わらない。

「Sさん。女はいざ貝になったら、もはや口を開けることはないです。Sさんが何か言う度に、余計に心を硬くする。なら、あっさりと送り出してやることです」
「そうかあ。そうだよな」
別れ際にあっさりしていると、別れた相手は拍子抜けがして、後で幾度も思い出すものだ。

ここで時計を見ると、1時間が経っていた。
「不味い。親たちが着く頃だ」
家では女房が待ってるよな。
ダンナがほとんど家に帰らないものだから、妻は1人で子どもたちと格闘している。
さすがに後ろめたいが、生きていくためにしていることだ。
「それも男の言い訳だよな」
そろそろ、目の前の男に暇を告げて、駅に向かわねば。
次第に心苦しくなってくる。
ここで覚醒。

夢なので、事実とは違います。
三十代では、ほとんど会社で寝泊りしており、家には帰りませんでした。
家族のことをないがしろにしていた自覚があったのか、今になり、繰り返し、こういう感じの夢を観ます。
親はじっと私が来るのを待っているし、妻は一人ぼっちに耐えている。
良心の呵責が、こういう夢を観させるわけです。