日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話487夜 洪水

◎夢の話487夜 洪水
8日の朝4時ごろに断続的に見た夢です。

気が付くと、大学らしき建物の中庭にいる。
 どうやらオレは学生らしい。
 名前は「中※」だが、中田なのか中村なのかはっきりしない。
 齢は22歳くらい。

 少しずつ記憶が甦る。
 オレはつい先ほど、女と別れたばかりだった。
 たぶん、別の学部の1つか2つ年上の女だ。だが、その辺は頭がボンヤリしてはっきりしない。
 「なんだ。また夢の中か」
 時々、こういうように、「今は夢の中」だってことを悟ることがある。
 どれどれ。どんな状況だよ。ゆっくりと思い出す。

 女とは1年近く付き合ったらしい。
 きっかけは忘れたが、何時の間にか主導権を握られていた。
 相手がこっちに「会いたい」と思う時に呼び出され、付き合わされる。
 まるで弟みたいな立場だが、弟と違うのは、そんな時、オレは女の部屋に泊まることだ。
 オレは男兄弟なので、女のきょうだいとの付き合い方を知らない。
 年上でもあり、何となく女に従っていたら、それが当たり前になった。
 1年が経つと、自分のほうからは連絡せず、相手から連絡が来た時だけ出掛けるようになっていた。

 今日もいつものように呼び出されたのだが、話の中身がいつもとは違っていた。
 「ごめんね。もう電話しないから」
 それだけだった。
 女が去った後、オレはしばらく考えた。
 「別れてくれって意味だよな」
 でも、なんだかアッサリし過ぎてるよな。

 その後、オレは他の学部に行った。その学部で午後の講義のひとつを受けていたからだ。
 その途中で、学食の前を通った。
 「あ。あれは」
 学食は1階で、前にテラスがある。そのテラスに女が男と一緒に座っていた。
 会話が弾んでいるようで、女がジェスチャーを交えて盛んに話していた。
 「あ。そういうことだ」
 別の男が出来たってことだな。当たり前だが。
 オレはその女に気付かれないように、テラスの前を通り過ぎた。

 「あのひとと一緒に色んな時間を過ごしたっけな」
 あれこれと思い出す。
 あそこに行ったり、ここで遊んだり。楽しい記憶ばかり。
 「なんでこういうことになったんだか」
 さすがに悲しい気持ちになる。
 ところが、建物を2つ通り過ぎると、不思議なことに、オレの心は晴れていた。
 「スッキリ」とか、「爽快」といった表現をするのがふさわしいくらいだ。
 ひとの心は、頭で考えることとは別らしい。
 ここでオレは、これまで自分自身が無意識に感じていたことを悟った。
 「驚いた。オレの方もあのひとと別れたがっていたのだ」
 もちろん、それでも悲しい。悲しいけれど、スッキリ・サッパリと爽快な気分だ。

 それからオレは、講義をパスして図書館に向かった。
 バイトで今晩中にリポートをまとめねばならないので、その資料調べのためだ。
 石垣の塀の脇にある階段を登り、渡り橋に向かう。
 その渡り橋を越えて、反対側の高台に行くと、その奥に図書館があるのだ。
 
 しかし、オレが階段を登り終えると、遠くから「どうどう」という音が聞こえて来た。
 「あれは何の音だよ?」
 もの凄い轟音だ。
 オレは思わず立ち止まり、気配を伺う。
 音の正体はすぐに分かった。
 オレの立っている高台の下は路地になっているが、その路地を黒い水が押し寄せて来ていた。
 「うわあ。洪水だ。川が氾濫したのか」
 車や街路樹を薙ぎ倒し、濁流がこっちに迫っていた。
 「こりゃ不味い」
 周りを見回すが、逃れる場所はない。
 仕方なく、一番大きな樹の根元にしがみつくことにした。
 まあ、気休めだ。

 濁流はあっという間に押し寄せた。
 石垣を乗り越え、みるみるうちに高台が水に囲まれる。
 「うひゃあ。これぞ万事休すってヤツだ」
 足元がびちゃびちゃ濡れる。

 ところが、流れが襲ったのは足元までだった。
 水の高さは、高台と同じくらいのところで止まっていたのだ。
 動きが止まってみると、陸地と水面が連なり、見渡す限り平らな世界になっていた。
 「あれま。こういうことってアリなのか?」
 とても信じられない。

 オレは気を静めるべく、深呼吸をする。
 「助かったな。また助かった」
 まあ、これはオレの夢の話なので、生身のオレが死なない限り、オレの存在が消滅することは無い。
 どんな災害が来ても、それを乗り越えることは出来るのだ。

 ここで覚醒。

 「水」は「感情」の象徴。すなわち、前半と後半はまったく別の夢のようですが、実は同じ夢なのだと分かります。