夢の話 第526夜 壁
16日の午前3時に観た夢です。
瞼を開くと、3メートルくらい前が壁だった。
建物の壁で、60センチ四方の四角い枠が縦横にきっちり並んでいる。
「これ。見たことあるなあ」
霊安室とか、ボックス式のお墓だよな。
いくつあるんだろ。何百か、あるいはもっと沢山だ。
横を向いたり、上を見上げたりするが、端が見えないくらい並んでいた。
「はっはーん。こいつは夢だ。夢でやんの」
オレは眠る度に夢を観て、それを詳細に記憶したまま目覚める。
そのせいで、夢と現実の境目がはっきりしないのだが、その反面、夢の中で「自分が夢の中にいる」ことを自覚できたりする。
良い夢の時はかなり便利だ。シャーリーズ・セロンとごく普通にデートできたりする。
「だがこいつは違うよな」
夢は潜在意識がベースになっている。
オレはこの墓の前で何をしようというんだろ。
そのまま5分経ち、30分が経ち、2時間が経った。ま、時間はあくまで自分自身の感覚だ。
ところが、オレはこの壁を眺めているだけで、オレにもオレの周囲にも何ひとつ新しい変化が起きない。
さすがに退屈してくる。
こりゃ一体、どういうこと?
こんなんなら、いつも通り、悪霊とか死神でも出て来てくれればいいのに。
「じゃあ、自分から動こうか」
そう思ってはみたのだが、まったく体が動かない。
壁を眺めたまま、何日も、何ヶ月も、何年も過ぎる。
「このままオレは永遠にじっとしていなくちゃならんのだろうか」
それなら、ここが本物の地獄だ。
ここで覚醒。
さすが潜在意識は、自分自身の弱点を知っています。
昔から、死ぬことや死んだ人に恐れを感じたことは少なく、お墓とか、廃屋・廃病院などは全然平気です。実際、お盆には、仕事が終わった後、夜中の12時頃に独りでお墓に行っていました。怖いのはお墓でなく、暗くて足元が見えないことです。転んで怪我をするのは嫌ですからね。
私の最大の恐怖は「じっとしていること」。
狭いところや暗いところではなく、動かないこと、動けないことが怖ろしい。
同じところに留まっているのが苦しい。
そのせいで、日頃からすぐにじたばたしてしまいます。