夢の話 第540夜 所用にて
9日の午後十時ごろに観た夢です。
夢の中の「オレ」は過去の自分に近い存在だ。
事務所を出ようとすると、背後から事務員が声を掛けて来た。
「社長。3時頃に伺っても良いかと○×社さんから連絡がありましたが」
「今日は無理だよ。断っといて」
階段を下り、道に出ると、すぐに知り合いに会った。
「おお。Kさん。どっか出掛けるの?」
「ちょっと用事があるのです」
「じゃあ、今日はあっちには出ないね」
あっち。あっちって何だろ。
ま、とにかく無理だな。
「今日は無理ですね」
一礼をして、歩き始める。
十メートルも行かぬうちに、別の知人に会う。
この近くの丸暴事務所の人間だ。
「やあ、こんちは。今晩アレがあるけど来る?」
アレとは高額なレートの麻雀だ。警察署のどまん前のマンションが会場だが、堂々とやっているから逆に目を付けられない。
「今日は用事がありますから無理です」
「そっかあ。勿体無いねえ。あの奥さんが来るのに」
「あの奥さん」とは博打好きの社長夫人だ。基本が下手なので、来る度に何百万も負けて行く。
逆に他の者にとっては、そういうのが一人いるだけで、自分が浮上する好機になる。
「ま、仕方ないですね」
挨拶をして、再び歩き始める。
駅の改札が見えてきた。
ここでオレはふと気付いた。
「ところで、オレは今日、何の用事で出掛けようとしているんだっけな」
すぐに答えが沸いて来る。
「そっか。オレは今日、女房と結婚するんだった」
ここで覚醒。
目を覚ますと、居間のテレビの前で、隣には家人が座っていました。
「おい。俺は夢の中でまたお前と結婚した。もう百回は結婚してると思う。夢の中でくらい、別の美人と結婚すればいいのに」
家人は「ワタシとトーサンはおへそが繋がっているんだから、それも仕方ないよ」と笑いました。