日刊早坂ノボル新聞

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◎『北奥三国物語 鬼灯の城』 第五章 業火 (要約)

◎『北奥三国物語 鬼灯の城』 第五章 業火(要約) ;盛岡タイムス連載中

 馬渕川の戦いから半月後、釜沢館を九戸政実が訪れる。政実は四戸一族による讒言を受けていたが、重清の真意を確かめるべく、工藤右馬之助を伴って訪館したのだ。
 重清が戦いについて語ると、政実は納得し、「年賀式に出るがよい」と重清を誘った。
 その日、重清は杜鵑女を引き連れ、三戸の伊勢屋に向かう。表向きは年越しの支度のためだが、その実は祈祷師を休ませるための計らいだった。
 伊勢屋に着き、部屋の支度が出来るまで二人は向かいの茶屋で待つことになる。
 するとそこには、伊勢屋の様子を窺う男女がいた。重清はその者たちを呼び止め、警告した。
 伊勢屋の離屋で、杜鵑女は重清に夜伽を命じられると覚悟したが、しかし、重清は求めては来なかった。
 翌日、二人が帰館すると、大手門で目時の人質である桔梗が待っていた。
 並び立つ二人を見た瞬間、杜鵑女の目には、地獄の業火が二人の周りを取り巻いているように映った。
 杜鵑女は「あの女を放逐せねば」と決意する。
 一方、重清と桔梗は情交に明け暮れる。
 ついに桔梗は重清に「目時筑前を殺してください」と願う。

(ひと口コメント)
 話はついに佳境に入ります。
 男が狂う要因は「やはり女」ということで、重清と桔梗は、日夜 、情交に明け暮れます。
 朝刊で大丈夫かと思うくらい、セックスに継ぐセックスの生活になるのですが、こうしないと、桔梗が夫・目時筑前を「殺してください」と願う展開にリアリティが生まれません。
 「釜沢淡州」(重清)を取り巻く状況は、刻一刻と変化してゆくのですが、果たして重清は乗り切れるかどうか。

 ところで、天正末期の設定には、レギュラーメンバーである赤平虎一が付きものですが、ここでも紅蜘蛛共々、少し顔を出します。
 この話は、次作『鳥谷ヶ崎情夜』を書くための前振りで、後に悪の権化となる杜鵑女と紅蜘蛛との絡みを生む前日譚となっています。

 やはり何事も「体力が基本」で、この4、5年は「表現が死んでいた」のですが、かなり良くなってきました。
 これなら、ボツにして留め置いた作品を直して、世に発射できると思います。